観光列車 (台湾)

台湾鉄路管理局の観光列車

台湾鉄路管理局（台鉄）が運行する観光列車は、台湾各地の美しい景色や文化を巡る魅力的な旅を提供しています。これらの列車は、団体旅行だけでなく、個人旅行者も利用可能で、様々なニーズに対応しています。この記事では、現在の「環島之星」号を中心に、かつて運行されていた多様な観光列車についても詳しく解説します。

概要

2001年9月に運行を開始した観光列車は、クルーズトレインの一種として位置づけられていますが、寝台列車ではありません。初期には「総裁1号」、「東方美人号」、「洄瀾阿美号」など、多様な名称で運行されていましたが、現在は「環島之星」に集約されています。これらの列車は、ディーゼル機関車や電気機関車によって牽引され、莒光号客車が連結されています。

特筆すべき点として、台鉄の一般列車で利用できる自願無座票（立席乗車）やIC乗車カードは利用できず、TR Passも利用できません。これは、観光列車が特別なサービスを提供するため、一般列車とは異なる運行形態をとっているためです。

車両

観光列車には、莒光号用のFPK10500、FPK10600、BCK10600、BCK10700、DC10500、PC10500型客車が使用されています。FPKは一般的な莒光号客車で2+2列の座席配置、BCKはビジネス席（日本のグリーン車相当）で1+2列配置となっています。DCは食堂車で軽食やスイーツが提供され、PCはカラオケが楽しめるパーラーカーです。

西部幹線と東部幹線では電気機関車が牽引し、屏東線と南迴線ではディーゼル機関車と電源行李車が連結されます。新左営駅と台東駅では機関車の交換が行われ、運行時間が半日に及ぶ花蓮駅でも機関車の交換が行われます。これらの列車は定期列車ですが、旅行代理店主催のツアー客専用のため「ビジネス車」扱いで、運賃は自強号と同額です。

台鉄の旅客列車では最高等級とされ、2018年から内装の更新工事が進められ、2019年初頭から順次営業運転に投入されました。

定期観光列車

環島之星

「環島之星」は、毎日運行される定期観光列車で、台北駅を起点に台湾を一周するルートで運行されています。1次列車は西部幹線から東部幹線を巡る反時計回り、2次列車は東部幹線から西部幹線を巡る時計回りのルートです。全車両がビジネス席で、旅行代理店の易遊網（ezTravel）で乗車券やパッケージツアーが販売され、台鉄の窓口では購入できません。

近年では台湾鉄道少女のラッピングが施された食堂車が連結されています。南廻線や台東線は定期列車の本数が少ないため、一般客向けに普通車が連結され、台北-高雄-花蓮間で台鉄駅窓口で乗車券が販売されています。これは「自由行列車」と呼ばれます。

2010年以降、易遊網が経営権を再獲得し、客室乗務員のサービスやカラオケ設備が復活しました。2014年には食堂車が連結され、普通車の連結位置が変更されました。2019年からは、ハローキティのラッピング仕様となっています。

定期団体列車

台鉄が自社企画で運行する団体列車は、2ヶ月前から予約を受け付け、余剰席は乗車日12日前から一般販売されます。主な路線は以下の通りです。

74/71次：樹林 - 花蓮（毎日運行）
72/73次：樹林 - 台東（月・土曜日運行）

台東観光希望列車

2017年5月より運行を開始した列車です。

81/82次：樹林 - 台東（金土日月運行）

洄瀾之心

花蓮県の旅行・宿泊業界が観光喚起のためにチャーターした特別列車で、TEMU2000型（普悠瑪号）にアミ族の伝統模様をあしらった特別ラッピングが施されました。しかし、運行開始後の乗車率低迷や事故の影響により、2019年3月に運行を終了しました。

郵輪式列車

クルーズ客船のように駅周辺での長時間滞在を可能とする目的で運行されている列車です。莒光号の客車が使用され、一般の旅客列車と同様の予約方式ですが、決済システムや発券方法に違いがあります。

仲夏宝島号

毎年夏に数回運行されるSL牽引の客車列車で、主に玉里駅 - 台東駅間を運行します。特別なイベント時には他の区間でも運行されることがあります。

かつて運行されていた観光列車

過去には、「総裁一号」、「南迴之星」、「宝島之星」、「東方美人号」、「洄瀾阿美号」など、様々な観光列車が運行されていましたが、現在は廃止されています。これらの列車は、当時の台湾観光の魅力を伝える上で重要な役割を果たしていました。

1次/2次：台北 - 枋寮　総裁一号（初期名称：墾丁之星）
3次/4次：高雄 - 台東　南迴之星
5次/7次/8次/10次：台北 - 花蓮 - 台東 - 高雄 - 彰化 - 台北　宝島之星
79次/80次：台北 - 台東　東方美人号
2855次/2866次：台北 - 花蓮　洄瀾阿美号
3233次/3236次：板橋 - 菁桐　平渓線観光列車
DoDo火車：DR2900型自強号を改造した列車（高雄臨港線で運行）

これらの列車は、それぞれの地域やテーマに特化した旅を提供し、台湾の魅力を多角的に伝えていました。

まとめ

台湾の観光列車は、台湾の美しい景色や文化を巡る旅を提供し、多様なニーズに対応しています。これらの列車は、鉄道ファンだけでなく、一般の旅行者にも魅力的な選択肢となっています。歴史的な列車から最新の車両まで、様々な旅のスタイルを楽しむことができ、台湾の魅力を再発見するきっかけとなるでしょう。

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