転落の詩集

転落の詩集：映像化作品の歴史

石川達三の小説『転落の詩集』は、その発表以来、多くの人々に影響を与え、映画やテレビドラマとして複数回映像化されてきました。それぞれの作品は、時代背景や制作陣の解釈によって異なる魅力を放っています。ここでは、各映像化作品の詳細をまとめ、その変遷を辿ります。

映画

1940年版

公開日: 1940年8月8日
監督: 島耕二
脚色: 館岡謙之助
撮影: 相坂操一
配給: 日活
キャスト:
日暮里子
中田弘二
津村博
白藤妙子
高木永二
斎藤紫香
山ノ上於久良
林寛
北龍二
笠原恒彦
上代勇吉
星ひかる
小杉光史
須藤恒子
大谷晋太郎
大倉喜多八
西春彦

この1940年版は、戦前の時代を背景に、日活によって製作されました。島耕二監督の演出と、館岡謙之助による脚色が、原作の持つ文学的な雰囲気をどのように映像化したのか注目されます。

1950年版

公開日: 1950年7月1日
監督: 加戸敏
製作: 須田鐘太
撮影: 秋野榮久
音楽: 斎藤一郎
美術: 高橋康一
録音: 橋本国雄
配給: 大映（現・角川映画）
キャスト:
三條美紀
水島道太郎
荒川さつき
羽鳥敏子
小柴幹治
宮崎準

戦後間もない時期に製作された1950年版は、加戸敏監督の手によって、大映によって公開されました。斎藤一郎による音楽や、高橋康一の美術など、当時の映画界を代表するスタッフが参加しています。

テレビドラマ

1953年版

放送日: 1953年10月7日より毎週水曜日 19:50～20:30 (JST)
放送局: NHK
演出: 畑中庸生
脚本: 内村直也、（山本七之助?）
制作: NHK
キャスト:
大塚道子
山形勲

NHKで放送されたこのドラマは、初期のテレビドラマであり、毎週水曜日の夜に放送されました。畑中庸生が演出を担当し、内村直也が脚本を手がけました。

1959年版

放送日: 1959年3月17日
放送局: 日本教育テレビ（現・テレビ朝日）「NET劇場」枠
脚色: 岡田達門
キャスト:
佐田啓二（※当時の新聞のテレビ欄には佐田の名は記載されておらず出演者名のトップは南原伸二になっており、誤りの可能性有り）
南原伸二（南原宏治）
島崎雪子
浜田寅彦
楠田薫

日本教育テレビ（現在のテレビ朝日）で放送されたこのドラマは、「NET劇場」枠で放送されました。岡田達門が脚色を担当しました。佐田啓二の出演については、当時の新聞記事との情報にずれがある点が興味深いです。

1962年版

放送日: 1962年5月10日（前編）、5月17日（後編）
放送局: 日本テレビ「武田ロマン劇場」枠
脚色: 富沢一郎
演出: 半沢文夫
制作: 東宝、日本テレビ
キャスト:
菅原謙二
加代キミ子
植村謙二郎
八色賢典

日本テレビの「武田ロマン劇場」枠で放送されたこのドラマは、前後編の二部構成で放送されました。富沢一郎が脚色を、半沢文夫が演出を担当し、東宝と日本テレビが共同で制作しました。

1964年版

放送日: 1964年8月24日～12月26日
放送局: NHK「文芸劇場」枠
演出: 加納守
脚本: 小田和生
制作: NHK
キャスト:
木村俊恵
中谷一郎
矢野宣
阿木五郎
高森和子
山口幸生
美杉てい子

NHKの「文芸劇場」枠で放送されたこのドラマは、1964年の8月から12月にかけて放送されました。加納守が演出を担当し、小田和生が脚本を手がけました。

1978年版

放送日: 1978年10月30日～12月29日
放送局: TBS「花王 愛の劇場」枠
脚本: 西沢裕子
監督: 大槻義一、新津左兵
音楽: 山下毅雄
プロデューサー: 前田満州夫（国際放映）、野村清（TBS）
制作: 国際放映、TBS
主題歌: 「福寿草の詩」（歌：中山恵美子）
キャスト:
酒巻美代：上村香子
川地栄三郎：大出俊
奥村慎太郎：西田健
奥村八重子：下村節子
熊野：三木敏彦
羽村七右ヱ門：竜崎一郎
川地たみ：露原千草
川地栄次：鶴賀二郎
川地正子：安藤純子
美代の母：滝奈保栄
坂上次長：陶隆司 （陶隆）
坂上敏江：近藤ふみ子
坂上春子：東啓子
駒子：木村有里
さくら：富山真沙子
島崎：有馬昌彦
菊江：霧島八千代
道子：岩倉高子
鹿野刑事：野呂圭介
大倉刑事：山根久幸
東刑事：鈴木英明
宮部巡査：三田村賢二
駐在滝沢：里木左甫良
* ナレーター：白坂道子

1978年に放送されたTBS「花王 愛の劇場」枠のドラマは、連続テレビ映画として全45回放送されました。西沢裕子が脚本を、大槻義一と新津左兵が監督を務め、山下毅雄が音楽を担当しました。主題歌「福寿草の詩」は中山恵美子が歌い、多くの視聴者に親しまれました。

これらの映像化作品は、それぞれ異なる時代背景や制作陣の解釈によって、原作の新たな魅力を引き出してきました。『転落の詩集』は、時代を超えて愛される作品であり、今後も新たな形で映像化される可能性を秘めています。

もう一度検索