迎日湾

迎日湾（ヨンイルわん）

迎日湾は、大韓民国慶尚北道浦項市に位置する湾であり、日本海に面しています。西の達萬岬と東の虎尾串（長鬐岬）を結ぶ内側の海域を指し、沿岸には浦項市の市街地、興海邑、東海面、虎尾串面が広がっています。

自然環境

湾の東側は虎尾串によって風波が遮られるため、天然の良港となっています。地質的には、断層運動によって形成された兄山江地溝帯の北東端に位置しています。太白山脈から虎尾串を経て慶州の吐含山へと続く山系が湾の南部に位置し、これらの山系の間を縫うように兄山江が南東方向に流れ込み、迎日湾へと注ぎ込んでいます。その河口付近には、浦項平野と呼ばれる広大な沖積地が広がっています。

湾口は北東方向に開けており、水深は約200mに達します。外海に向かうにつれて海底の傾斜が急になる地形が特徴です。湾の幅は約10km、奥行きは約12kmで、水深は海岸から1〜2km地点までは約10m、湾口付近では16〜19m程度となっています。湾奥には、半月状の砂洲である松島海水浴場があり、防風林として植林されたクロマツやヒノキが鬱蒼とした森を形成しています。

気候は、一般的に海洋性気候の特徴を示しますが、寒暖の差が激しいのも特徴です。冬には気温が-15℃以下まで下がることもあれば、夏には35℃以上まで上昇することもあります。

歴史

古代には新羅の斤烏支県に属していました。「迎日」という地名は高麗時代の延日県に由来し、『三国遺事』に収録されている阿達羅王四年（157年）の延烏郎と細烏女の説話にその名を見ることができます。この説話によれば、日月の精である延烏郎と細烏女の夫婦が日本へ渡ったため、新羅から日月が光を失いました。王が使いを送ったところ、延烏郎は日本で王として迎えられており（ただし、新羅人が王になったという記録がないことから、この王は地方を治める小王であると考えられています）、帰国を拒否しました。代わりに細烏女が織った綃（絹の織物）を与え、それで天を祭ったところ日月が元に戻ったため、天を祭った所を「迎日県」または「都祈野」と呼ぶようになったと伝えられています。

交通

迎日湾には迎日湾港があり、2020年9月17日より京都舞鶴港 - 浦項迎日湾港 - ウラジオストクを結ぶ舞鶴航路が週1往復で運航されています。

産業

近海ではブリ、サバ、ニシンなどが漁獲されています。湾内には重工業都市であり、水産都市でもある浦項市があります。浦項市は1967年に兄山江河口一帯が総合製鉄工業地域に指定されたことで、東南海岸工業ベルト地域の拠点都市として開発が進められました。

兄山江の河口付近には浦項工業団地と松島遊園地が位置しています。浦項工業基地には、関連産業である金属・機械部品メーカーの工業団地が立地しており、製鉄・金属・機械工業が系列化された重化学工業コンビナートを形成しています。

湾奥部に注ぐ兄山江が運搬する土砂によって広大な砂洲が形成されており、浦項港への大型船舶の接岸を妨げていましたが、1973年に砂洲の一部が埋め立てられ、韓国最初の一貫製鉄所である浦項製鉄所が建設されました。以来、沿岸一帯は韓国屈指の金属工業基地として発展し、港湾施設も整備されてきました。

浦項港内には、旧港・新港・迎日湾港などが位置しており、2009年8月には浦項迎日湾港第1段階が完成しました。迎日湾沿岸は、人口密度の高い市街地地域に隣接して工業団地が密集している地域であり、兄山江からの排水が流入するため、水質保全対策が求められています。

2024年6月3日、尹錫悦大統領は就任後初の国政ブリーフィングで、迎日湾沖の日本海に140億バレルに達する石油とガスが埋蔵されている可能性が高く、専門家の検証も終えたと発表し、試掘を経て開発の可能性に言及しました。今後の調査結果が注目されています。

軍事

大韓民国海兵隊第1師団が浦項に本部を置いています。

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