道氏

道氏の歴史と系譜

道氏（みちうじ）は、「道」を称する日本の氏族で、阿倍氏の同族に位置付けられています。その本拠地は加賀国石川郡味知郷と考えられており、現在の石川県白山市鶴来町のあたりにあたると言われています。道氏の姓は「君」または「公」であることが多いようです。

概要と系譜

『新撰姓氏録』の「右京皇別」の項目によりますと、「道公」は「大彦命の孫、彦屋主田心命の子孫」とされ、過去には越国の国造を担っていたとされます。また、『日本書紀』巻第四の孝元天皇7年の記録でも、阿倍臣・膳臣・阿閉臣・狭狭貴山君・筑紫国造・越国造・伊賀臣の祖先として名を挙げられています。さらに、『先代旧事本紀』の「国造本紀」には、高志国造が志賀高穴穂朝の時代に、阿閉臣の子孫である市入命を国造とした旨が記されています。

本貫が加賀国石川郡味知郷であることが有力視されていますが、「道」という名称が地名を指しているのではなく、白山信仰の司祭権や禅定道に関連する権限を示しているという説も存在します。この場合、道氏のルーツは金沢市北郊にあるとされています。

道氏の主要人物

道氏には、いくつか著名な人物が含まれています。『日本書紀』によれば、欽明天皇31年（570年）には「道君」と称して高句麗の使者を欺いた事例があり、さらに天智天皇の宮人で志貴皇子の母である道君伊羅都売（いらつめ）などが挙げられます。また、『大宝律令』の編纂にも関与した道首名もこの一族の一員です。

道君は8世紀には越前国加賀郡の郡司となり、中央政府でも官僚職を務め、後の枝族となりました。道氏は越中国、若狭国、さらには佐渡国や出羽国にも存在していたことが記録されています。

その他の記録

『続日本後紀』によれば、承和2年（835年）に左京の地域に住む道公広持と道公安野が、当道（まさみち）朝臣の称号を授けられる記録も見られます。これにより、道氏が当時の中央政府においても存在感を示していたことが確認できます。

くり返しになりますが、道氏は日本の古代において重要な氏族の一つであり、その歴史は多くの文献に記録されています。特に阿倍氏とのつながりや、時代ごとの政治的背景が彼らの活動を通して明らかになっています。

参考文献

• - 『日本古代氏族事典』 新装版 佐伯有清編、雄山閣、2015年
• - 『日本古代氏族人名辞典』 坂本太郎・平野邦雄監修、吉川弘文館、1990年
• - 『日本書紀』 全巻、岩波文庫、1994年、1995年
• - 『続日本紀』 新日本古典文学大系、岩波書店、1989年

以上のような情報を基に、道氏の歩みや影響を理解することができます。

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