道綽

道綽（どうしゃく）

道綽（どうしゃく、拼音: dào-chuò）は、中国唐代に活躍した浄土教の僧侶であり、その生涯と教えは後の仏教界に大きな影響を与えました。俗姓は衛氏で、「西河禅師」とも称されます。

浄土教における位置づけ

道綽は、浄土宗において「浄土五祖」の第二祖とされており、浄土真宗では「七高僧」の第四祖として「道綽禅師」と尊称されています。これらの称号からも、彼が浄土教の歴史においていかに重要な人物であったかが伺えます。

生涯

道綽は、陳の天嘉3年/北周の保定2年（562年）に、現在の山西省呂梁市文水県にあたる并州受陽県で生まれました。14歳で出家し、当初は『涅槃経』に精通していましたが、30歳を過ぎてから慧瓚に師事し、戒律と禅定の実践に励みました。

48歳の時、大業5年（609年）に、玄中寺の曇鸞の碑文に感銘を受け、自力修行の限界を悟り、浄土教に帰依しました。その後、同寺に滞在し、出家者や在家の信者に向けて『観無量寿経』を200回以上も講義しました。道綽は、日々の生活の中で念仏を7万遍も称えていたと伝えられており、念仏の数を小豆で数える「小豆念仏」を勧めたことでも知られています。この実践は、称名念仏（仏の名を唱える念仏）の普及に大きく貢献しました。

貞観15年（641年）には、善導が道綽を訪ねて師事し、『観無量寿経』などの教えを受けました。道綽は、亡くなるまで教えを説き続け、貞観19年（645年）4月27日、85歳でその生涯を閉じました。

著書

道綽の主要な著書として『安楽集』があります。

『安楽集』 2巻：『仏説観無量寿経』の解釈書であり、浄土教の教義を体系的に解説したものです。この書は、浄土教の思想を理解する上で非常に重要な文献とされています。

参考文献

中村元、福永光司・田村芳朗・末木文美士・今野達 編『岩波仏教辞典 第二版』岩波書店、2002年。ISBN 4-00-080205-4。
河野法雲、雲山龍珠 監修『真宗辞典』（新装版）法藏館、1994年。ISBN 4-8318-7012-9。
瓜生津隆真、細川行信 編『真宗小事典』（新装版）法藏館、2000年。ISBN 4-8318-7067-6。
勧学寮 編『浄土三部経と七祖の教え』本願寺出版社、2008年。ISBN 978-4-89416-792-6。

関連文献

『曇鸞 藤堂恭俊 道綽 牧田諦亮 浄土仏教の思想 第4巻』講談社、1995年

関連項目

観無量寿経疏
浄土論 - 浄土論註

外部リンク

SAT DB（大正新脩大藏經テキストデータベース）
『安樂集』（諸宗部 Vol.47） - 「卷上」・「卷下」

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