野尻町 (鹿児島市)

概要

野尻町（のじりちょう）は、鹿児島県鹿児島市に位置する町です。桜島の西側に位置し、北は桜島赤水町、東から南東にかけては持木町に隣接し、西から南は鹿児島湾に面しています。2020年4月1日時点での人口は127人、世帯数は94世帯です。郵便番号は891-1541です。

地理

野尻町は桜島の西部に位置し、海岸沿いには国道224号線が東西に走っています。集落は主に東部に集中しています。この地域は、桜島の文明噴火によって噴出した溶岩（文明溶岩）が広範囲に広がっており、その溶岩地帯は現在、クロマツの植林地となっています。町の大部分は霧島錦江湾国立公園の区域に指定されており、特別保護地区、第1種および第3種特別地域、そして普通地域から構成されています。

歴史

野尻という地名は、室町時代から確認できます。永享11年（1439年）には島津氏が福昌寺に野尻の地を寄進した記録があり、文明7年（1475年）には野尻村で噴火が発生したという記述も残っています。

江戸時代には、野尻村は大隅国大隅郡桜島郷に属し、村高は時代によって変動が見られます。

1887年（明治20年）に大隅郡が南北に分割され、野尻村は北[[大隅郡]]に所属しました。1889年（明治22年）の町村制施行により、周辺の村々と合併して東[[桜島村]]となり、野尻村は大字「野尻」となりました。その後、1897年（明治30年）には北[[大隅郡]]が鹿児島郡に統合され、東[[桜島村]]も鹿児島郡の一部となりました。

1914年（大正3年）には桜島の大正大噴火が発生し、野尻地区も大きな影響を受けました。当時の人口は野尻地区で200人、持木地区で368人でした。噴火により住民は薩摩半島方面に避難し、その後、一部の住民は移住を選択しました。

第二次世界大戦中には、現在の桜島病院の場所に兵舎が置かれ、海岸側には高射砲が設置されました。1950年（昭和25年）には東[[桜島村]]が鹿児島市に編入され、同年、大字野尻の一部が持木町として分離し、残りの区域が野尻町となりました。1964年（昭和39年）には台風20号による被害も発生しました。

自然

野尻町は、そのほとんどが霧島錦江湾国立公園に指定されています。桜島の火山活動によって形成された地形や、豊かな自然環境が特徴です。野尻川が町内を流れ、海岸線には多様な動植物が生息しています。

施設

公共施設としては、桜島国際火山砂防センターや国土交通省九州地方整備局大隅河川国道事務所桜島砂防出張所があります。また、地域には姫宮神社があり、教育施設として桜島学園が設置されています。

交通

主要な道路としては国道224号線が町内を東西に走り、桜島港の野尻地区には避難港が設置されています。

人口

1995年以降、野尻町の人口は減少傾向にあります。

その他

野尻町は、その歴史的な背景や火山活動の影響を受けながら、自然と共存する地域として独自の文化を育んできました。桜島の雄大な自然や歴史に触れることができる場所として、今後もその価値が維持されることが期待されます。

参考文献

• - 鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』
• - 木脇栄『かごしま市史こばなし』
• - 「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」
• - 桜島町郷土誌編さん委員会『桜島町郷土誌』
• - 芳即正、五味克夫『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』
• - 中央防災会議災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1914 桜島噴火
• - 南日本新聞『鹿児島市史Ⅳ』

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