野間神社 (南さつま市)

野間神社の概要

野間神社は、鹿児島県南さつま市笠沙町片浦に位置する神社で、かつては野間権現と呼ばれていました。旧社格は村社であり、地元の人々から大切にされています。

鎮座地

神社は、標高591mの野間岳の八合目に鎮座しています。野間岳は古くから山岳信仰の対象であり、海上からも目立つ山容のため、特に航海者からの信仰が厚かったとされています。

祭神

野間神社では、以下の神々が祀られています。

瓊瓊杵尊（ニニギノミコト）
鹿葦津姫命（カアシツヒメノミコト）（木花開耶媛とも）
火蘭降尊（ホムスヒコノミコト）
彦火々出見尊（ヒコホホデミノミコト）
火照尊（ホデリノミコト）

歴史

創始の年代は不明ですが、社記によれば、野間岳は瓊瓊杵尊が最初に上陸した地であり、山腹には神代の都「笠狭宮」（宮ノ山遺跡）があったとされています。

古代の記述

『日本書紀』には、瓊瓊杵尊が上陸したとされる「竹島」が野間岳であり、「笠狭の碕」が野間半島であるという記述があります。このことから、野間岳が古代から重要な場所であったことが伺えます。

かつての社殿

当初、野間岳の山頂には「東宮」と「西宮」の二つの本殿がありました。東宮には瓊瓊杵尊と鹿葦津姫命が、西宮には火蘭降尊、彦火々出見尊、火照尊が祀られていました。

興味深いことに、西宮では後に「娘媽」「順風耳」「千里眼」という中国沿岸部でよく祀られる神々が祀られるようになりました。このことは、この地域と中国とのつながりを示唆しています。

再建と合祀

「三国名勝図会」には、この神社の建立は非常に古く、昔からあったものだと記されています。

島津忠良はこの神社を崇敬し、天文23年（1554年）に東宮を再建しました。その後、永禄10年（1567年）には、島津貴久とその息子・島津義久が連名で西宮を再建しました。

しかし、台風被害が多い地域であるため、社殿が度々崩壊しました。そのため、文政2年（1819年）に東宮と西宮を合祀し、文政13年（1830年）に島津斉興によって現在の八合目に統合された社殿が再建されました。

現在の社殿

その後も社殿は被害を受けたため、昭和51年（1976年）に前社殿の老朽化が激しかったことから、コンクリートで再建されました。

まとめ

野間神社は、古代からの信仰を受け継ぎ、歴史の中で数々の変遷を経て現在に至っています。その歴史は、地域の文化や信仰を深く物語っており、訪れる人々に深い感銘を与えます。

参考文献

『角川日本地名大辞典４６鹿児島県』、角川書店、1983年
* 『ふるさとのお社 鹿児島県神社誌』鹿児島県神道青年会、1995年

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