野間半島

野間半島の詳細

野間半島は、九州の薩摩半島南西部から東シナ海へと突出する半島であり、鹿児島県南さつま市に属しています。この半島は、その範囲によって広義と狭義の二つの定義が存在します。

広義の野間半島

広義には、大浦川より西側に伸びる、野間岳などを含む約10キロメートルの半島を指します。この地域は、変化に富んだ地質と植生が特徴で、豊かな自然が広がっています。

狭義の野間半島

一方、狭義には、野間池から西に伸びる約2キロメートルの半島を指します。この半島は、かつて島であったものが、土砂の堆積によって陸続きになったという歴史を持ちます。

地質

広義の野間半島は、白亜紀に形成された川辺層群（砂岩、頁岩）、中新世中期の野間岬花崗岩類（花崗斑岩、石英斑岩）、中新世後期の南薩層群（安山岩）などから構成されています。また、半島東部には阿多カルデラから噴出した阿多火砕流による溶結凝灰岩も見られます。野間池付近には、仏像構造線が横切っており、地質学的に重要な場所となっています。

狭義の野間半島は、川辺層群や野間岬花崗岩類を基盤とし、先端部の野間岬から黒崎瀬にかけては、古生代に形成された野間岬変成岩類が分布しています。

植生

広義の野間半島は、スギやヒノキなどの人工林が広がっている場所が多いです。かつてはクロマツの人工林も存在しましたが、マツクイムシの被害により衰退しました。山頂付近には、イスノキ、ヤブニッケイ、ヤブツバキなどが、標高450メートル付近にはスダジイやアカガシなどの照葉樹林が見られます。海岸付近には、サツマノギク、ホソバワダンなどの植物が生息しています。

東部の赤生木には、1926年に国の天然記念物に指定されたヘゴの自生地があります。この地域は、九州の南西端にあたるため、多くの渡り鳥が観察され、留鳥としてはメジロやヒヨドリなどが多く見られます。

自然公園

野間半島一帯は、坊野間県立自然公園に指定されており、豊かな自然が保護されています。この公園は、美しい海岸線や多様な植生、貴重な地質など、多くの見どころがあります。また、バードウォッチングやハイキングなど、自然を楽しむアクティビティも盛んです。

まとめ

野間半島は、多様な地質と植生を持つ自然豊かな半島であり、その美しい景観は多くの人々を魅了しています。狭義と広義の定義があり、それぞれ異なる特徴を持っていることも、この半島の興味深い点の一つです。訪れる際には、その自然の美しさを堪能するとともに、地質や歴史についても学んでみると、より深く野間半島の魅力を理解できるでしょう。

参考文献

鹿児島県立博物館『鹿児島の自然調査事業報告書1　南薩の自然』1994年
笠沙町郷土誌編さん委員会編『笠沙町郷土誌上巻』笠沙町、1991年

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