金庫 (特殊法人)

金庫（きんこ）とは

金庫とは、かつて日本に存在した特殊法人で、政府が政策目的のために設立した金融機関です。太平洋戦争以前の日本において、国策上必要であるものの、通常の銀行業務では対応が難しい、あるいは民間銀行では限界があるような投融資業務を担いました。

金庫の特徴

政府系金融機関という位置づけですが、戦後に設立された公庫とは異なり、民間企業が資本の半分を出資している点が特徴です。これは、官民一体となって政策を推進するという当時の体制を反映しています。

金庫の歴史

戦後の諸改革が進む中で、国策会社的な役割を担っていた金庫は閉鎖され、残ったものも多くは公庫や特殊[[銀行]]へと移行しました。2008年10月1日に商工組合中央金庫が特殊会社に移行したことで、特殊法人としての金庫は全て消滅しました。

過去に存在した金庫一覧

以下は、過去に存在した主な金庫の一覧です。

商工組合中央金庫：中小企業の金融を支援した金庫。
農林中央金庫：農林漁業関係者のための金融機関。
復興金融金庫：戦後の復興資金を供給した金庫。
戦時金融金庫：戦時中に軍需産業などを支援した金庫。
国民更生金庫：中小企業の転廃業を支援した金庫。1941年設立。日米開戦直前の資源不足や産業統制により、転業や廃業を余儀なくされた中小企業に対し、主に転廃業に必要な資金を融資しました。
南方開発金庫：日本占領下の東南アジアで事実上の中央[[銀行]]として活動した金庫。1942年設立、1945年解散。
外資金庫：在外資金の調達・運用を目的とした金庫。1945年1月設立、終戦とともに解散。
庶民金庫：個人事業者や給与所得者への小口融資を行った金庫。1938年設立、1949年に国民金融公庫へ業務を引き継ぎ解散。
恩給金庫：官吏や退役軍人向けに恩給受給権を担保とした小口融資を行った金庫。1938年設立、1949年に国民金融公庫へ業務を引き継ぎ解散。

復帰前の沖縄における金庫

復帰前の沖縄には、その名称に「金庫」の文字を含む法人（農林漁業中央金庫、移民金庫など）が存在しました。これらは、日本本土の金庫とは異なる法的根拠に基づいて設立されたもので、沖縄の経済事情に合わせた金融サービスを提供していました。

関連事項

金庫に関連する用語として、以下のようなものがあります。

労働金庫：労働組合が組織する金融機関。
信用金庫：地域社会の会員向け金融機関。
特殊[[銀行]] (日本金融史)：特殊な目的を持つ銀行。

まとめ

金庫は、戦前の日本において重要な役割を果たした特殊法人です。政策遂行に必要な資金を供給し、産業の発展に貢献しました。しかし、戦後の改革の中でその多くは姿を消し、現在はその名称も歴史の中に残るのみとなっています。本稿を通じて、金庫の歴史と役割について理解を深めていただければ幸いです。

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