陽耽

陽耽（よう たん）

陽耽（生没年不詳）は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物です。本貫は右北平郡無終県にあり、子に陽騖がいます。

生涯

陽耽は元々西晋に仕え、遼西郡太守を務めていました。建興元年（313年）4月、鮮卑慕容部の大人である慕容廆が、鷹揚将軍慕容翰を派遣し、段部が拠点とする遼西へ侵攻しました。慕容翰は徒河と新城を攻略し、陽耽が守る陽楽に迫りました。陽楽は慕容翰によって陥落し、陽耽は捕らえられました。

しかし、慕容廆は陽耽を礼遇し、その才能を高く評価して登用しました。裴嶷、黄泓、魯昌らと共に、慕容廆の謀主として重用されることになります。

大興4年（321年）12月、慕容廆は東晋から車騎将軍・都督幽平二州東夷諸軍事・平州牧に任じられ、遼東公に封じられました。この際、慕容廆は官僚組織の編成を行い、陽耽は軍諮祭酒に任じられました。その後、東夷校尉にも任じられています。

これ以後の陽耽の事績は、史書には記録されていません。

人物・逸話

陽耽は清廉で正直であり、物静かで頭の回転が早い人物であったと伝えられています。

また、妻の李氏は博学であり、母の模範となる威儀を備えていました。慕容皝は、表座敷に入るたびに彼女に拝礼することを欠かさなかったと言われています。

陽裕は若い頃、親族でその才能に気づく者はいませんでしたが、陽耽は唯一、「この子は我が一門で優れているだけでなく、時代を助ける良器と言えよう」と語ったとされています。陽裕は陽耽の子である陽騖と共に前燕で活躍しました。

参考文献

『晋書』巻108、巻109、巻111
『資治通鑑』巻88、巻91
* 『十六国春秋』巻23、巻31

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