願泉寺 (貝塚市)

願泉寺（がんせんじ）

願泉寺は、大阪府貝塚市にある浄土真宗本願寺派の寺院で、金凉山と号します。本尊は阿弥陀如来です。かつては本願寺派の本山としての役割も担っていました。

歴史

願泉寺の起源は、行基によって建てられたと伝えられる庵寺に遡ります。本尊の阿弥陀如来立像も行基の作とされています。

『貝塚寺内基立書』によれば、応仁年間（1467年 - 1469年）に蓮如がこの地を訪れ、人々の集まる場所が寺院の始まりとされています。この資料には批判もありますが、貝塚御坊（願泉寺の前身）が戦国時代に設立されたことは確実であり、織田・豊臣時代から江戸時代初期にかけて発展したと考えられています。

1545年、地元の門徒が根来寺から右京坊（卜半斎了珍）を住持として招き、1550年に庵寺を再興したとされています。しかし、これは卜半家が1610年の訴訟の際に作成した記録に基づいています。実際には1550年に証如によって海塚坊が作られたのが、願泉寺の直接の始まりであると考えられています。海塚坊は津田左衛門と堺の商人である雑喉屋藤右衛門によって支えられ、浄土真宗本願寺派の貝塚道場が成立しました。1555年には大坂本願寺下の寺内町として発展しました。

卜半斎了珍は佐野川卜半とも呼ばれますが、史料に現れるのは1570年代からです。

貝塚道場及び寺内町は、1577年の織田信長による雑賀攻めの際に織田信忠によって焼き討ちされ、全焼しました。

1580年、石山合戦を終えた顕如は、復興中の貝塚道場を経由して鷺森御坊に移動し、本山を鷺森に移しました。同年中に了珍と門徒によって貝塚道場は復興を遂げています。

1582年には、羽柴秀吉から寺内諸役免許の朱印状が了珍に下付されました。

1583年7月、顕如は貝塚道場へ移り、ここを貝塚本願寺とし、新たな本山としました。1585年8月に本山が天満本願寺へ移るまでの約2年間、貝塚本願寺は貝塚御坊とも呼ばれ、本願寺教団の一大拠点となりました。

顕如が天満本願寺へ移る際、津田左衛門を留守居に指名しましたが、左衛門が辞退したため、了珍が留守居となりました。

1607年、貝塚御坊は西本願寺の准如から「願泉寺」の寺号を授けられました。願泉寺は1602年の本願寺東西分裂後も東西兼帯であり、両本山の歴代門主の絵像を蔵しています。明治以降も東西両本願寺に属していましたが、1951年の宗教法人法施行によって本願寺派寺院となり、現在に至っています。

卜半家2代の了閑は貝塚寺内の私領化を目論んだため、住民の反発を招きました。1610年の訴訟の結果、了閑の言い分が認められ、徳川家康から寺内諸役免許の黒印状が下付されました。以降、1865年に大坂町奉行支配となりましたが、実質的には1871年の上知令まで260年以上に渡って卜半家が貝塚寺内の領主として自治を行いました。1613年には家康の指示によって貝塚寺内に周濠が掘られ、大坂の陣においても徳川方に協力的でした。ただし、自衛機能は持たず、町の出入口に置かれた番所には岸和田藩の足軽が詰めており、岸和田藩の監視機関となっていました。願泉寺の報恩講は大規模で、岸和田藩が領民に参詣を控えるよう触書を出すほどでした。

1636年には寛永寺より金凉山真教院の山院号が下付されました。紀州藩主が参勤交代をする際に立ち寄り、宿泊施設として使用されました。

1945年7月10日の堺大空襲により、貝塚市も空襲され、願泉寺にも焼夷弾が落とされ、鐘楼が焼失しました。

境内

願泉寺には、以下の文化財があります。

本堂（重要文化財）：1663年再建。2004年から2011年まで半解体修理が行われました。
庫裏
書院（大阪府指定有形文化財）：江戸時代中期の建立。紀州藩主が参勤交代の際の宿泊施設として使用されました。
経蔵（大阪府指定有形文化財）：1688年再建。
鐘楼（重要文化財）：元は青松寺の鐘楼で1702年の築。焼失後、1948年に移築。銅鐘（大阪府指定有形文化財）は1224年の作。
太鼓堂（重要文化財）：1719年建立。
井戸屋形（大阪府指定有形文化財）：1818年建立。
目隠塀（重要文化財）
表門（重要文化財）：1679年再建。2022年に一部が破壊されました。

文化財

願泉寺には、多数の文化財が所蔵されています。詳細は省略します。

交通

南海本線・水間鉄道水間線 貝塚駅下車、徒歩5分。

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