飛鳥井雅康

飛鳥井雅康について

飛鳥井雅康（あすかい まさやす）は、永享8年（1436年）に生まれ、永正6年10月26日（1509年12月7日）に没した、室町時代後期から戦国時代前期にかけての公家であり僧侶です。飛鳥井雅世の次男として生まれ、兄である飛鳥井雅親の猶子となり飛鳥井家を継ぎました。官位は正三位権中納言にまで昇り、二楽軒または二楽院と号し、法名を宋世と称しました。

生涯と活動

雅康は、応仁元年（1467年）に従三位に叙せられ、翌年には参議に任ぜられました。その後、右兵衛督や出雲権守を兼任し、文明11年（1479年）には権中納言に昇進しました。しかし、文明14年（1482年）に近江国松本に出奔し出家。家督を猶子である飛鳥井雅俊に譲り、以降は書道や和歌の世界に身を投じました。

雅康は、蹴鞠、和歌、書道、尺八といった多岐にわたる分野で才能を発揮しました。特に和歌においては、30代の頃から兄に代わって歌会の題者や点者を務め、書道においては二楽流の祖として知られています。また、地方の大名との交流も深く、上杉房定に招かれて越後国を訪問したり、畠山政長や細川政元に歌学書を贈呈するなど、幅広い人脈を持っていました。

文化的な貢献

雅康は、家業であった和歌や蹴鞠を中心に多くの著作を残しました。『宋世口伝』や『和歌功能』といった歌学書をはじめ、『歌道抄』、『蹴鞠条々大概』、『入道中納言雅康卿百首』、『雅康卿詠草』、『詠百首和歌』、『蹴鞠百首和歌』など、その著作は多岐にわたります。また、後花園法皇崩御の記録である『山霞』や、紀行文である『富士歴覧記』など、歴史的にも貴重な資料も残しています。さらに、『新撰菟玖波集』にも11首が選ばれており、その歌人としての才能も高く評価されています。

飛鳥井家の系譜

雅康の父は飛鳥井雅世であり、母は不詳です。妻についても詳細は不明ですが、子には飛鳥井頼孝、盛円、そして万里小路春房（江南院龍霄）室がいます。

飛鳥井雅康は、その多彩な才能と幅広い活動を通じて、室町時代後期の文化に大きな足跡を残した人物と言えるでしょう。

参考文献
田中新一「飛鳥井雅康」『日本古典文学大辞典 1』（岩波書店、1983年） ISBN 978-4-000-80061-7
島谷弘幸「飛鳥井雅康」『朝日日本歴史人物事典』（朝日新聞社、1994年） ISBN 978-4-02-340052-8
市古貞次他『国書人名辞典 1』（岩波書店、1993年） ISBN 978-4-000-80081-5
小林健彦「飛鳥井雅康」『戦国人名辞典』（吉川弘文館 2006年） ISBN 978-4-642-01348-2

関連項目
* 大島本

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