馬車道 (横浜市)

馬車道は、神奈川県横浜市中区に位置する、歴史と文化が色濃く残る地域であり、道路の名称でもあります。2004年には横浜高速鉄道みなとみらい線が開通し、馬車道駅が設置されました。この地域は、地元市民に親しまれている伝統的な通称としての地域名称であり、商店街の名称でもありますが、行政上の正式な町名ではありません。

馬車道の歴史

馬車道は、幕末の開港を機に発展しました。開港場へ至る道として整備され、外国人が馬車で往来したことから「馬車道」と呼ばれるようになりました。この道は、横浜の歴史を語る上で欠かせない存在です。

馬車道沿いには「馬車道商店街」が軒を連ねています。馬車道駅の設置に合わせて商店街を駅近くまで延長・整備し、より魅力的な街並みへと変化しました。また、景観を守り地域を活性化させるための街づくり協定「馬車道協定書」も結ばれており、地域全体で美しい街並みを維持する努力が続けられています。

馬車道の見どころ

馬車道には、当時の面影を残すものが数多く残っています。煉瓦で舗装された道や、実際にガスを燃やしているガス灯の街路灯は、訪れる人に歴史的な雰囲気を感じさせてくれます。また、関内には近代洋風建築が数多く残っており、馬車道にもいくつか点在しています。

以下に、馬車道地区内および周辺に残る主な建築物を建築年順に挙げます。

神奈川県立歴史博物館（旧横浜正金銀行）：1904年竣工。国の重要文化財に指定されています。
損保ジャパン横浜馬車道ビル（旧川崎銀行横浜支店）：1922年竣工。近代的なビルが増築され、横浜市認定歴史的建造物にも指定されています。
横浜第二合同庁舎（旧生糸検査所）：1926年竣工。外壁のみ復元されています。
横浜指路教会：1926年竣工。横浜市認定歴史的建造物です。
帝蚕倉庫事務所（旧生糸検査所倉庫事務所）：1926年竣工。
横浜アイランドタワー下層部（旧第一銀行横浜支店）：1929年竣工。現在地に移築され復元されました。
東京藝術大学大学院馬車道校舎（旧安田銀行横浜支店・旧富士銀行横浜支店）：1929年竣工。横浜市認定歴史的建造物です。
旧東京三菱銀行横浜中央支店（旧第百銀行横浜支店）：1934年竣工。横浜市認定歴史的建造物です。
横浜銀行協会（旧横浜銀行集会所）：1936年竣工。
馬車道大津ビル（旧東京海上火災保険ビル・協同飼料研究所）：1936年竣工。横浜市認定歴史的建造物です。

これらの建築物は、馬車道の歴史と文化を象徴する重要な存在です。散策しながら、それぞれの建築物の魅力を感じてみてください。

馬車道と「日本初」

馬車道は、日本における西洋文化の玄関口として、数々の「日本初」を生み出した場所でもあります。

アイスクリーム: 1869年、馬車道通りに開かれた「氷水屋」で製造・販売されたのが最初と言われています。当時は「アイスクリン」と呼ばれ、非常に高価なものでした。
事業としてのガス灯: 1872年、馬車道には日本で初めて事業としてガス灯が設置されました。現在も、当時の雰囲気を伝えるガス灯が設置されています。
近代街路樹: 1867年、馬車道の各商店街が通りに沿って柳や松を植えたのが、近代街路樹の始まりとされています。
日刊新聞: 1871年、馬車道に近い本町通りで、日本初の日刊新聞「横浜毎日新聞」が創刊されました。
乗合馬車: 1869年、日本初の乗合馬車が吉田橋と東京間を走りました。

これらの「日本初」は、馬車道が日本の近代化において重要な役割を果たしたことを物語っています。

馬車道へのアクセス

馬車道へのアクセスは、以下の駅が便利です。

馬車道駅（横浜高速鉄道みなとみらい線）
関内駅（JR根岸線、横浜市営地下鉄ブルーライン）

馬車道が登場する作品

馬車道は、テレビドラマや歌の舞台としても度々登場しています。

テレビドラマ「プロハンター」：馬車道を舞台としたドラマで、当時多くのファンが訪れました。
研ナオコの楽曲「馬車道」：馬車道周辺の風景を描いた楽曲です。
中村雅俊の楽曲「恋人も濡れる街角」：歌詞に馬車道が登場します。
* ローカルアイドル「ポニカロード」：馬車道を拠点に活動しており、持ち歌もあります。

まとめ

馬車道は、歴史と文化が息づく魅力的な場所です。古い建築物や「日本初」のものが数多く残っており、訪れる人を魅了します。横浜を訪れた際には、ぜひ馬車道を散策し、その魅力を体感してみてください。

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