高瞻 (前燕)

高瞻（こう せん）

高瞻（生年不詳 - 319年）は、五胡十六国時代の動乱期を生きた人物です。字は子前といい、渤海郡蓨県を本貫とします。

生涯

西晋での仕官と故郷への帰還

高瞻は西晋に仕え、尚書郎という役職に就いていました。しかし、永嘉の乱が起こると、故郷へ戻り、今後の身の振り方を父老たちと話し合います。高瞻は、当時の政治の混乱と戦乱の激しさを憂い、この地域が豊かな土地でありながらも、賊兵の侵略によって安全ではなくなることを危惧しました。そこで、王浚が幽州の薊を拠点として勢力を拡大していることに着目し、彼のもとに身を寄せることを提案します。父老たちは高瞻の意見に賛同し、叔父の高隠と共に数千家を率いて幽州へ移住しました。

崔毖への従属と慕容廆との対立

しかし、王浚の政治は乱れており、高瞻らは失望します。そこで、平州刺史の崔毖（さいひ）に付き従い、遼東へ移住しました。319年、崔毖は遼東を支配していましたが、多くの民は鮮卑慕容部の大人である慕容廆（ぼようかい）に帰順していました。崔毖は慕容廆が民を抑留していると考え、討伐を計画。高句麗、段部、宇文部に協力を要請し、慕容部の領地分割を持ちかけます。高瞻はこれに反対しますが、崔毖は聞き入れませんでした。

慕容廆への帰順と失意の死

高句麗、段部、宇文部は慕容廆討伐に失敗し、慕容廆は崔毖の企みを知ると降伏を呼びかけます。恐れた崔毖は高句麗へ逃亡。慕容廆は将軍の張統に高句麗軍の拠点を急襲させ、高句麗の将を捕らえました。高瞻は崔燾、韓恒、石琮らと千余家と共に棘城へ送られ、慕容廆から賓客として手厚く迎えられます。

318年、慕容廆は高瞻の才能を高く評価し、将軍に任じようとしましたが、高瞻は病気を理由に固辞します。慕容廆は何度も高瞻のもとを訪れ、その才能を惜しみ、協力を促しますが、高瞻はついに応じませんでした。慕容廆は不快感を覚えましたが、高瞻を処罰することはありませんでした。しかし、高瞻は慕容廆の態度に不安を感じ、失意のうちに亡くなったとされています。

人物・逸話

高瞻は幼い頃から英武で豪快、かつ俊才であると評判で、身長は八尺二寸（約188cm）もあったと伝えられています。

家系

父: 高約
叔父: 高隠
子: 高開、高商

参考文献

『晋書』巻一百八
『資治通鑑』巻九一
『十六国春秋』巻二三、巻三一

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