石琮

石琮（せき そう）

石琮は、五胡十六国時代の前燕に仕えた人物であり、生没年は不詳です。彼の出自は楽陵郡厭次県にあり、西晋時代の昌安県侯であった石鑒の孫にあたります。

生涯

石琮は、元々永嘉の乱を避けて遼東に逃れ、そこで割拠していた東夷校尉の崔毖に帰順しました。しかし、大興2年（319年）12月、崔毖が慕容部の大人である慕容廆に敗北すると、石琮は捕らえられ、崔燾、高瞻、韓恒らと共に棘城へ送られました。慕容廆は石琮を客人として手厚く待遇し、やがて石琮は柳城都尉に任じられることとなります。

咸和9年（334年）2月、段部の大人である段遼が、弟の段蘭と慕容翰を柳城へ侵攻させました。この時、石琮は城大である慕輿泥と共に決死の防戦を繰り広げ、段蘭らを退却させることに成功しました。しかし、10日余り後、段蘭と慕容翰は再び侵攻し、柳城を包囲しました。段蘭は雲梯を造り、地下道を掘り、20日に渡って四方から昼夜問わず攻撃を仕掛けましたが、石琮はひたすら城を堅守しました。さらに、機を見て石琮は将士を率いて出撃し、敵軍を奇襲しました。これにより首級千五百を挙げ、段蘭を退却させるという大きな戦果を挙げました。

咸康3年（337年）9月、慕容皝が燕王を称すると、石琮は列卿将帥となり、常伯に任じられました。このことから、石琮は前燕において重要な地位を占めていたことがうかがえます。

石琮の生涯は、戦乱の時代を生き抜き、その能力と忠誠心によって前燕の発展に貢献した人物として評価できます。特に、柳城を守り抜いた功績は大きく、彼の勇猛さと指揮能力を示すものと言えるでしょう。

参考文献

『晋書』巻110
『資治通鑑』巻91、巻95

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