黒神町

鹿児島市黒神町

黒神町は、鹿児島県の鹿児島市に位置する町です。かつては桜島の一部でしたが、大正大噴火によって陸続きとなりました。この地域は、活火山である桜島の噴火によって、幾度となく溶岩流や火山灰の被害を受けてきました。特に大正大噴火では、集落が埋没し、甚大な被害を被ったことで知られています。

地理

黒神町は、鹿児島市の最東端に位置し、桜島の東側に広がっています。北は高免町、南は垂水市と隣接し、東は鹿児島湾に面しています。かつて島であった桜島は、大正大噴火によって瀬戸海峡が溶岩で埋まり、大隅半島と陸続きになりました。この接続部には、「黒神風穴」と呼ばれる風穴が存在し、火山活動の痕跡を今に伝えています。

黒神町は、桜島の南岳北東麓に位置しており、南西部は警戒区域に指定されています。また、京都大学防災研究所の観測所が設置されており、火山活動の観測が行われています。町内には、黒神小学校と黒神中学校、腹五社神社などがあります。腹五社神社の周辺には、自然林が広がっています。

自然

黒神町は、霧島錦江湾国立公園内に位置しており、豊かな自然に恵まれています。特に、桜島の火山活動によって形成された地形は、独特の景観を生み出しています。町内には、特別保護地区、特別地域などが設けられており、自然保護の取り組みが行われています。また、黒神川などの河川も流れており、自然環境の多様性を支えています。

歴史

黒神の地名は、室町時代から見られ、古くから人が住んでいたことがわかります。江戸時代には、薩摩藩の支配下に入り、農業や漁業が営まれていました。安永大噴火では、甚大な被害を受け、多くの死者が出ました。また、薩英戦争時には、瀬戸が軍事要地となり、警備が強化されました。明治時代になると、町村制が施行され、黒神村は東桜島村の一部となりました。

大正大噴火

1914年の大正大噴火は、黒神町に未曽有の被害をもたらしました。噴火の予兆があったものの、多くの住民が避難を余儀なくされ、黒神集落は軽石や火山灰によって埋没しました。また、瀬戸海峡は溶岩で埋められ、桜島は大隅半島と陸続きになりました。この噴火により、多くの住民が移住を余儀なくされましたが、その後、復旧が進められ、住民は帰還しました。

昭和噴火

昭和時代にも噴火が発生し、黒神集落が再び溶岩で埋没する被害を受けました。これにより、住民は再び避難を余儀なくされ、生活再建は困難を極めました。その後、開拓団によって入植が行われましたが、火山灰や二酸化硫黄の影響で、農業は思うように進みませんでした。

鹿児島市への編入以降

1950年には、東桜島村が鹿児島市に編入され、黒神町が設置されました。この頃、黒神と他の集落を結ぶ交通手段として仕立船がありましたが、桜島一周道路の開通やバス路線の開設により、定期航路は廃止されました。その後、黒神町では、火山噴火による被害対策として、避難施設や道路の整備が進められました。

文化財

黒神町には、噴火によって埋没した鳥居や門柱が、県の天然記念物として保存されています。これらは、火山噴火の威力を後世に伝える史跡として、貴重な文化財となっています。また、町内には、腹五社神社があり、地域住民の信仰を集めています。

産業

黒神町では、漁業が盛んであり、ハマチの養殖が行われています。農業は、降灰の影響で規模が小さいものの、ビワやミカンなどの栽培が行われています。また、かつては軍馬の産地でしたが、降灰の影響で畜産は衰退しました。近年は、観光業にも力を入れており、黒神ビュースポットなど、桜島の景観を楽しめる場所も整備されています。

教育

黒神町には、黒神中学校と黒神小学校があります。黒神中学校は、生徒数が減少したため、一時休校となりましたが、現在は再開しています。黒神小学校は、小規模校であり、特認校として指定されています。かつては、瀬戸に瀬戸尋常小学校がありましたが、大正大噴火により廃校となりました。

交通

黒神町には、国道220号と県道桜島港黒神線が通っています。バス路線も運行されており、鹿児島市や垂水市とのアクセスが可能です。また、宇土港と塩屋ヶ元港は、避難港として指定されています。

黒神町は、火山と共存する地域として、独自の歴史と文化を育んできました。過去の噴火の教訓を活かし、これからも地域住民が協力しながら、豊かな自然と文化を守り続けていくことが期待されます。

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