2015年の鉄道

2015年の日本の鉄道

2015年（平成27年）は、日本の鉄道において多くの重要な出来事があった年です。特に、全国的なネットワークの拡充や、都市圏における利便性向上につながるプロジェクトが実現しました。また、新たな車両が各地でデビューし、一方で長年親しまれてきた列車が姿を消すなど、世代交代も進みました。

注目すべき開業・延伸

この年の最大のトピックの一つは、3月14日に実現した北陸新幹線の長野〜金沢間延伸開業です。これにより、首都圏と北陸地方が新幹線で直結され、アクセスが大幅に改善されました。これに伴い、並行する信越本線（長野〜直江津間）と北陸本線（直江津〜金沢間）はJRから経営分離され、しなの鉄道、えちごトキめき鉄道、あいの風とやま鉄道、IRいしかわ鉄道といった第三セクター鉄道へ転換されました。また、これら転換路線上では、新たな特急列車「しらゆき」「ダイナスター」「能登かがり火」の運転が始まりました。

同じく3月14日には、首都圏において上野東京ラインが開業しました。宇都宮線、高崎線と東海道線が東京駅を経由して相互直通運転を開始し、常磐線の一部列車も品川駅への乗り入れを開始しました。これにより、東北・高崎方面と東海道方面が直通で結ばれ、乗り換えなしでの移動が可能となり、首都圏における鉄道ネットワークの利便性が大きく向上しました。

12月6日には、仙台市で地下鉄東西線（八木山動物公園〜荒井間）が開業し、新たな公共交通軸が誕生しました。

この他にも、2月1日には阪堺電気軌道阪堺線に石津北停留場が、2月26日には富山地方鉄道本線に新黒部駅が、3月14日にはJR東日本奥羽本線に天童南駅など、各地で新駅が開業しました。

運賃改定とICカードの普及

運賃については、北総鉄道が平均2.3%の値上げを実施した一方、東京メトロは自社線内一日乗車券を値下げしました。また、台湾高速鉄道も運賃値下げを実施しました。

ICカードの利用範囲も拡大しました。3月3日には神戸電鉄と北神急行電鉄の全線で全国相互利用ICカードの利用が可能になり、3月14日には富士急行線全線、筑豊電気鉄道線全線で対応が開始されました。3月26日にはあいの風とやま鉄道線の一部区間でICOCAが導入され、10月1日には北九州高速鉄道の全線全駅でSUGOCAを含む10種のICカード相互利用が始まりました。また、JR九州では11月14日から宮崎市の一部区間でSUGOCAの利用が可能となりました。

ダイヤ改正と運転系統の変化

3月14日には、北陸新幹線開業や上野東京ライン開業に伴い、JRグループ各社（JR四国を除く）で大規模なダイヤ改正が実施されました。これにより、特急「トワイライトエクスプレス」「北斗星（定期運転）」などの長距離列車が運転を終了し、新たに「かがやき」「はくたか（新幹線）」「つるぎ」「しらゆき」などの新幹線・特急列車が登場しました。JR東日本では京浜東北線快速列車の停車駅追加や南武線快速列車の運転区間延長なども行われました。また、JR東海では東海道新幹線の最高速度が285km/hに引き上げられ、東京〜新大阪間が最短2時間22分となりました。

鉄道車両の動向

この年には多くの新型車両が投入されました。JR東日本では山手線にE235系、中央線特急用にE353系（量産先行車）、仙石東北ライン用にHB-E210系気動車が登場しました。JR西日本では山陽本線・呉線向けに227系、関西地区の特急用に289系が登場。JR九州では筑肥線・唐津線・福岡市地下鉄空港線向けに305系が投入されました。私鉄では、阪神電気鉄道の5700系、南海電気鉄道の8300系などが運転を開始しました。

一方で、老朽化などにより多くの車両が引退しました。JR北海道の711系、JR西日本の583系（一部）、東急電鉄の7600系、京成電鉄の3300形などがこの年に姿を消しました。特に、前述の長距離列車廃止に伴い、使用されていた車両も引退や転用が進みました。

この年の鉄道車両の受賞では、JR東日本E7系・JR西日本W7系新幹線電車がブルーリボン賞、JR東日本EV-E301系電車と箱根登山鉄道3000形電車がローレル賞を受賞しました。

災害・事故・事件

自然災害や事故も発生しました。1月には北海道で高波による日高本線の盛土流出が発生し、長期不通区間が生じました。9月には台風18号に伴う豪雨により、東武鉄道の宇都宮線や鬼怒川線、JR只見線、関東鉄道常総線、小湊鉄道線などで線路施設の流出や冠水などが発生し、一部区間が長期不通となりました。

事故としては、3月1日に東武伊勢崎線の竹ノ塚駅付近で踏切事故が発生しました。6月30日には東海道新幹線のぞみ号の車内で放火事件が発生し、死傷者が出る痛ましい事故となりました。11月14日にはフランスでTGVの試験運転中の脱線事故が発生しています。

事件としては、切符の転売目的での購入や、運転士の免許条件違反、車掌の不祥事、不審火、野球賭博などが報じられました。また、海外ではパリの地下鉄での人種差別や、タリス車内での銃乱射事件なども発生しました。

その他の動向

東日本大震災からの復旧についても動きがありました。3月21日には石巻線の浦宿〜女川間が運転を再開し、これにより仙石東北ラインの新設と合わせて仙石線全線と石巻線の一部が復旧しました。しかし、気仙沼線と大船渡線については、不通区間の鉄路での復旧を断念し、BRTでの運行を継続する方針が示されました。一方で、長期不通が続く常磐線については、全線を復旧させる方針と見通しが発表されました。

また、利用者の減少が進むローカル線については、JR西日本が三江線の全線廃止を検討していることが明らかになるなど、厳しい状況が表面化しました。

優先席付近での携帯電話使用規制については、10月以降、東北・関東甲信越、東海・愛知、九州の多くの事業者で、混雑時以外は電源オフにしなくても良いとする緩和措置が実施されました。

2015年は、インフラの拡充や車両の進化が進んだ一方で、自然災害や事故、ローカル線の維持など、鉄道が抱える課題も改めて浮き彫りになった一年と言えるでしょう。

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