26型フリゲート

26型フリゲート：イギリス海軍の次世代フリゲート

26型フリゲートは、イギリス海軍が運用する最新鋭のフリゲート艦です。艦名からシティ型またはグラスゴー級とも呼ばれ、当初はグローバル戦闘艦（GCS）として計画されていました。この艦級は、イギリス海軍の将来を担う艦として、その設計と能力において注目されています。

開発の経緯

当初、将来水上戦闘艦（FSC）として計画が進められていた26型は、実験船RVトライトンでの試験を経て、三胴船型（トリマラン）から在来型の単胴船型へと設計が変更されました。当初はC1からC3の3つのサブタイプが計画されていましたが、後に規模が統一され、対潜型、対空型、汎用型の3つのサブタイプを建造するという計画に変更されました。満載排水量は当初5,400トンとされていましたが、最終的には8,000トンまで大型化されました。

当初の計画では、23型フリゲートの更新として13隻の建造が検討されていましたが、2015年の戦略防衛・安全保障計画の見直しにより、対潜型8隻のみの建造となり、残りの通常型5隻については、より小型の31型フリゲートに切り替えられました。

設計の特徴

26型フリゲートは、ステルス性を考慮した設計が特徴です。船体と上部構造物はステルス性を重視して設計され、艦容は45型駆逐艦に似ていますが、凌波性を考慮して艦首の甲板高が高めに設計されています。また、前檣にはステルス性を考慮した塔型の大型マストが採用され、後檣には2基の細い単檣が並列で設置されています。

自動化が進められたことで、乗員数は23型の181名から157名に削減されましたが、人道支援任務や特殊作戦での便乗者を考慮して、51名分の予備スペースが確保されています。

機関は、水中放射雑音の低減と巡航時の航続距離延伸を重視したCODLOG方式を採用しています。巡航時にはディーゼル発電機と電動機による電気推進、高速航行時にはガスタービンエンジンを使用します。これにより、28ノットの標準速力と、15ノットで7,000海里の航続距離を実現しています。

主要な装備

C4ISR

主要なセンサーとして、3次元式の997型レーダーを前檣頂部に搭載し、対空・対水上捜索およびSAMの火器管制に使用します。また、前檣の中段には航海用のシャープアイ型レーダーも搭載されています。戦術情報処理装置としては、23型から改良されたDNA(2)システムが採用されています。

ソナーとしては、中周波数の2150型を船体に装備するほか、可変深度・曳航式の2087型も搭載します。2087型は、当初対潜型のみに搭載される予定でしたが、現在整備予定の8隻すべてに搭載されることになっています。

武器システム

艦砲として、イギリス海軍初となる62口径5インチ単装砲（Mk.45 mod.4）を前甲板に搭載しています。近接防空にはファランクスCIWS、近距離での対水上用にはブッシュマスターII機関砲を搭載します。

個艦防空ミサイルとしてシーセプターを採用し、艦砲の直後と煙突後方の2ヶ所に計48セルのVLSを搭載しています。また、艦橋構造物の直前には24セルのMk.41 VLSが設置され、対地用のトマホークやその後継となるNGLAW、対艦用のNGLAWが搭載される予定です。

格納庫には、マーリンであれば1機、リンクス・ワイルドキャットであれば2機を収容できます。ヘリコプター甲板は、大型のチヌーク輸送ヘリコプターの運用にも対応可能です。

建造と配備

2017年7月、BAEシステムズは国防省から最初の3隻を建造する契約を受注しました。その後、2022年11月には残りの5隻の建造も発注され、計8隻が建造されることになりました。これらのフリゲートは、クライドのスコッツタウン造船所で建造されています。

輸出モデル

26型フリゲートは、その高い性能から海外への輸出も検討されています。オーストラリア海軍は、26型を基にした対潜フリゲート「ハンター級」を9隻建造することを決定しました。また、カナダ海軍もイロクォイ級とハリファックス級の更新として、26型フリゲートを候補の一つとして挙げています。

まとめ

26型フリゲートは、イギリス海軍の将来を担う重要な艦艇であり、その高度な設計、多用途性、そして最新の装備は、世界の海軍からも注目を集めています。対潜能力、対空能力、対水上能力に加え、人道支援や特殊作戦など、幅広い任務に対応できる能力を備えており、イギリス海軍の戦力の中核として活躍することが期待されています。

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