FOMAプラスエリア

FOMAプラスエリアとは

FOMAプラスエリアは、NTTドコモが提供する第3世代移動通信システム（FOMA）の一部機種で利用できる、800MHz帯のW-CDMA方式によるサービスエリアです。2005年に、FOMAの主要な通信帯域である2GHz帯の電波が届きにくい山間部などでの電波状況改善を目的としてサービスが開始されました。

しかし、現在では、都市部およびその周辺部において、2GHz帯の電波を補完する役割も担っています。これにより、FOMAプラスエリア対応機種は、より広範囲で安定した通信が可能となりました。日本国内で1GHz未満の帯域を利用する第三世代携帯電話システムには、FOMAプラスエリアの他に、auのN800MHz帯、SoftBankのプラチナバンドなどが存在します。

概要

FOMAプラスエリア対応機種は、2GHz帯のFOMAエリアと800MHz帯のFOMAプラスエリアの両方で通話と通信が可能です。FOMAエリアとFOMAプラスエリアで利用できるサービスや料金に違いはなく、端末が自動的に最適なエリアに切り替えるため、利用者は「FOMAプラスエリア対応機種は通常より広い通信エリアで使える」という認識を持つことができます。

かつて800MHz帯を使用していたmova（ムーバ）は、FOMAとは異なるPDC方式を採用していたため、movaエリアとFOMAプラスエリアの間に関連性はありません。movaサービスでは、N2701などで利用可能であったデュアルネットワークサービスとは異なる点に注意が必要です。

サービス開始当初は、movaやau、空港無線電話が使用していた800MHz帯の周波数を、山間部や離島など、電波干渉が少ない地域でFOMAプラスエリアに一部重複利用するケースや、800MHz帯であることを活かしてアンテナを共同運用する事例が見られました。しかし、後に基地局と交換局間の回線容量の問題からmovaサービスを早期終了させ、FOMAプラスエリアサービスへと切り替える動きが進みました。現在では、都市部や周辺部のサービスエリアを補完するため、FOMAサービス基地局にFOMAプラスエリア設備を追加した二重構成の基地局が増加しています。

2012年 7月には800MHz帯の再編が完了し、帯域幅は10MHz幅×2から15MHz幅×2へと拡大され、バンド6または19として利用可能となりました。しかし、この帯域はLTEサービスのXiとのデュアル利用であるため、15MHz幅×2全てをFOMAプラスエリアとして運用しているとは限りません。

2016年には、一部基地局において800MHz帯のフルLTE化が実施されました。このエリアではFOMAプラスエリアは利用できなくなっていますが（2GHz帯はフルLTE化されていません）、これにより、800MHz帯、1.5GHz帯、2GHz帯に加えて、800MHz帯、1[[800MHz帯]]、2GHz帯の3つの周波数帯を利用したPREMIUM 4Gサービス（下り最大375Mbps）が展開される予定です。ただし、800MHz帯のフルLTE化は、LTEの通信量が多い場所でのみ導入され、地方部など2GHz帯のFOMAサービスエリアだけでは不安な地域では、プラスエリアを残す方針です。

使用周波数

800MHz帯再編終了前

W-CDMA (UMTS) 800 バンド VI (6)：最大10MHz幅×2

800MHz帯再編終了後

W-CDMA (UMTS) 800 バンド VI (6) または XIX (19)：最大15MHz幅×2

再編終了後、下り875 - 880MHzのAブロックと下り880 - 885MHzのBブロックをバンド VI (6)、下り885 - 890MHzのCブロックをバンドXIX (19)としてサービスが提供されています。しかし、CブロックはXi 800MHz帯のエリア拡大に伴いサービス地域がほぼ消滅しており、実質的にはバンド VI (6)のみが運用されている状況です。

対応端末

国内

2010年1月現在、以下の機種を除くFOMA全機種が対応しています。

FOMA 900iシリーズ
FOMA 901iシリーズ（901iS以降の9シリーズは全機種対応）
FOMA 700iシリーズ（700iS以降の7シリーズは全機種対応）
FOMA 20xxシリーズ
FOMA 21xxシリーズ
FOMA 24xxシリーズ
FOMA 27xxシリーズ
SIMPURE L（L600i）
SIMPURE N（N600i）
SIMPURE L1（L601i）
FOMAらくらくホン（F880iES）
FOMA NM850iG
FOMA M1000
BlackBerry 8707h

当初、901i・700iシリーズから対応予定でしたが、当時自社ネットワークで携帯電話市場への参入を計画していたソフトバンクグループが反対を表明したため、非対応となりました。

海外

W-CDMAの周波数帯に記載されている通り、UMTS850（バンドV）はUMTS800（バンドXIX/バンドVI）を内包しており、一部の機器ではFOMAプラスエリアでの通信が可能です。例えば、iPhone 3GS、iPhone 4/iPhone 4Sは、UMTS2100とUMTS850で通信できるため、FOMAプラスエリアで利用可能です（SIMロックされていない、または海外からの旅行者が国際ローミングで利用する場合に限ります）。

その他

バンド VI (6)非対応ながらバンド XIX (19)対応の端末は、本来はバンド VI (6)へアクセス後に接続しないのが3GPPの仕様です。しかし、この仕様に反してバンド VI (6)をバンド XIX (19)と見なして接続する端末も存在し、そのような端末ではFOMAプラスエリアが利用できる場合があります。特にSIMロックフリー端末では、海外メーカーが日本国内の事情を十分に把握せず、ドコモの相互接続性試験も通さずに端末を発売するケースがあり、その結果FOMAプラスエリア非対応となることもあります。

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