予讃線

予讃線：四国を横断する歴史と自然の鉄道

予讃線は、四国旅客鉄道（JR四国）が運営する鉄道路線で、香川県高松市の高松駅から愛媛県宇和島市の宇和島駅までを結んでいます。全長約327kmを誇り、JR四国路線の中では最長を誇る路線です。香川県西部と愛媛県を東西に貫き、瀬戸内海の美しい海岸線や山間部といった変化に富んだ沿線風景が魅力となっています。

瀬戸内海と山々の織りなす風景

予讃線は、高松駅から松山駅間が特に重要な幹線として位置付けられてきました。高松駅を出発すると、最初は住宅地や田園風景が広がり、坂出駅付近からは瀬戸大橋の雄大な姿を見ることができます。瀬戸大橋の開通後、高松駅～宇多津駅間は「瀬戸大橋線」という愛称で親しまれています。多度津駅で土讃線と分かれ、海岸線や内陸部を進みながら愛媛県へと入ります。愛媛県内では、新居浜や伊予西条といった工業地帯や、石鎚山といった雄大な山々を望むことができます。今治市を経由し、松山駅へと至ります。松山駅周辺は、松山城や道後温泉といった歴史的な観光地にも恵まれたエリアです。

松山駅を過ぎると、伊予市駅で電化区間が終わり、非電化区間に入ります。この区間では、愛ある伊予灘線（伊予市駅～伊予大洲駅間）と称される海岸線と、内子線経由の山岳ルートの2つの経路が存在します。内子線経由のルートには、四国最長の犬寄トンネルなど多くのトンネルが設けられており、山間部の景観を車窓から楽しむことができます。愛ある伊予灘線は、下灘駅や串駅といった風光明媚な駅があり、海岸線の景色を楽しむことができます。伊予大洲駅付近では、大洲城の復元天守閣を眺めることもできます。

八幡浜駅を過ぎると、急勾配の区間を経て宇和盆地に入り、宇和島駅へと至ります。宇和島駅周辺は宇和島城があり、歴史散策を楽しむことができます。

高速化への取り組みと歴史

予讃線は、国鉄時代から高速化への取り組みが積極的に行われてきました。一線スルー化や遠隔操作化、重軌条化、電化など、さまざまな改良が施され、特に電化区間では全国でもトップクラスの表定速度を誇っています。1986年には、向井原駅～伊予大洲駅間の内子線経由の新線が完成し、所要時間の短縮に繋がりました。新線は、台風などの自然災害による運休のリスク軽減にも貢献しています。しかし、八幡浜駅～宇和島駅間は依然として線路状況が厳しく、速度制限や運休がしばしば発生します。

現在も、伊予市駅～宇和島駅間の電化や、伊予西条駅～松山駅間の短絡線の建設といった更なる高速化・効率化に向けた計画が検討されています。

運行形態と車両

予讃線は、多度津駅～宇和島駅間は単線区間が多いため、輸送力に限界があります。特急列車は、松山駅～宇和島駅間では全て内子駅経由で運行されています。日中の特急列車は、主要駅での交換を優先してダイヤが組まれています。普通列車は観音寺駅、伊予西条駅、松山駅で系統が分かれており、長距離運行の普通列車も増加傾向にあります。

車両は、特急列車には2000系気動車、2700系気動車、8000系電車、8600系電車、キハ185系気動車、285系電車などが使用されています。普通列車には、5000系電車、223系電車、6000系電車、7000系電車、7200系電車、キハ185系気動車、キハ32形気動車、キハ54形気動車などが使用されています。トンネルの断面が小さい箇所もあるため、車両の高さ制限にも配慮されています。

観光列車とラッピング列車

2014年から運行されている観光列車「伊予灘ものがたり」は、愛媛の豊かな自然と食文化を満喫できる人気の列車です。また、「おさんぽなんよ」という愛媛県南予地域をテーマにしたラッピング列車も運行されています。

まとめ

予讃線は、歴史と自然が融合した魅力的な鉄道です。これからも、高速化や利便性の向上に向けた取り組みが期待され、四国の発展に貢献していくことでしょう。

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