日本軽金属

日本軽金属株式会社

日本軽金属株式会社は、日本軽金属ホールディングス傘下のアルミニウム総合メーカーです。アルミニウムの製錬から加工、化成品製造まで一貫して手掛けています。2014年3月まで、国内で唯一アルミニウム製錬工場を保有していましたが、現在は製錬事業から撤退し、加工品の製造に注力しています。

概要

歴史

旧古河財閥との繋がりが深く、古河グループの一員として、第一勧業銀行（現みずほ銀行）をメインバンクとする第一勧銀グループに参加していました。カナダのアルキャン（現リオ・ティント・アルキャン）と提携し、アルキャングループのアジア拠点となっています。

特徴

富士川水系に水力発電所を6ヶ所保有し、自家発電を行っていたため、電力コストの高騰時も価格競争力を維持していました。しかし、設備の老朽化により2014年3月に製錬事業から撤退しました。山梨県に雨畑ダムと柿元ダムを所有しており、ボーキサイト輸入用の岸壁を清水港に保有していましたが、現在は水酸化アルミニウムに原料を転換しています。かつては東京証券取引所、大阪証券取引所の一部に上場しており、非鉄金属企業として最初に東証一部に上場しました。

経営危機からの脱却

1971年のニクソンショックやオイルショックの影響で、日本のアルミニウム製錬産業は構造不況に陥りました。日本軽金属も例外ではなく経営不振に陥りましたが、製錬設備を廃棄し、自社水力発電所の電力を利用できる蒲原工場に集約し、アルミ加工に注力することで構造不況から脱却しました。1983年には、手動アイスクリーム製造機「どんびえ」を発売し、大ヒットを記録しました。

事業所所在地

本社・支社・支店

本社：東京都港区新橋1-1-13（アーバンネット内幸町ビル）
大阪支社・支店：大阪府大阪市中央区高麗橋4-1-1
名古屋支社・支店：愛知県名古屋市中区錦1-19-24
富士支店：静岡県富士市南町8-52
北九州支店：福岡県北九州市小倉北区浅野2-11-15

製造拠点

苫小牧製造所：北海道苫小牧市晴海町43-3
船橋工場：千葉県習志野市東習志野6-18-3
新潟工場：新潟県新潟市北区太郎代1572-19
蒲原製造所：静岡県静岡市清水区蒲原161
蒲原電極箔工場
蒲原熱交製品工場
蒲原ケミカル工場
清水工場：静岡県静岡市清水区三保4025-1
名古屋工場：愛知県稲沢市小池1-11-1

研究所

グループ技術センター：静岡県静岡市清水区蒲原1-34-1

事業部

化成品事業部
板事業部
グループ素材センター
容器部
熱交事業部
メタル・素形材事業部
電極箔事業部
景観製品部

沿革

1939年：日本軽金属株式会社設立。
1940年：特殊軽合金稲沢工場（現在の名古屋工場）、蒲原工場（現在の蒲原電解・鋳造工場）操業開始。
1941年：新潟工場、清水工場操業開始。山梨県や静岡県での水力発電所建設現場で事故が発生。
1949年：東京証券取引所などに株式上場。
1958年：清水工場の化成品部門を日軽化工株式会社として分社化。
1961年：株式会社日本軽金属総合研究所（後の日軽技研）設立。
1963年：日本フルハーフ株式会社設立。
1964年：日軽アルミ船橋工場操業開始。
1965年：アルミニウム線材株式会社を設立。
1969年：苫小牧電解工場操業開始。
1970年：大阪アルミ（後の日軽アルミ）滋賀工場、幸田工場操業開始。
1972年：苫小牧アルミナ工場操業開始。
1973年：関西アルミ合金（後の大信軽金属）三重工場操業開始。
1974年：日軽アルミ株式会社を吸収合併、船橋工場・滋賀工場継承。
1978年：大信軽金属静岡工場（後の蒲原合金工場）操業開始、日軽圧延株式会社を吸収合併。
1980年：旧新潟工場操業停止
1982年：蒲原鋳鍛工場（後の蒲原ホイール工場）操業開始。新新潟工場操業開始。日軽苫小牧株式会社設立。
1983年：電算機システム部門を日軽情報システム株式会社として分社化。
1984年：グループの建材事業を統合し、新日軽株式会社を設立。
1985年：MD苫小牧工場操業開始、苫小牧電解工場操業停止。ニッカル押出株式会社を吸収合併。
1986年：苫小牧アルミナ工場操業停止。冷熱事業システム営業部を日軽冷熱株式会社として分社化。蒲原電極箔工場操業開始。
1988年：蒲原熱交製品工場操業開始。
1989年：日軽化工・日軽苫小牧を吸収合併。
1990年：佐賀工場操業開始。
1991年：大信軽金属株式会社を吸収合併、蒲原合金工場・三重工場を継承。
1993年：日軽冷熱を合併、パネルシステム事業部発足。
1995年：株式会社日軽技研を合併、グループ技術センター発足。
1996年：船橋工場の建材部門を新日軽に譲渡。
1997年：蒲原ホイール工場操業停止。
1999年：蒲原合金工場操業停止。旧東洋アルミニウム株式会社を合併、東洋アルミ事業部発足。
2000年：MD苫小牧工場操業停止。新日軽を完全子会社化。
2002年：パネルシステム事業部などを分社化。東洋アルミ事業部を（新）東洋アルミニウム株式会社に吸収分割。
2007年：アルミニウム合金事業を株式会社エムシーアルミに譲渡、子会社化。
2009年：札幌証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所上場廃止。
2010年：新日軽の全株式を住生活グループに譲渡。
2011年：日軽金加工開発ホールディングス株式会社を設立。
2012年：東京証券取引所、大阪証券取引所上場廃止。持株会社日本軽金属ホールディングス株式会社を設立。
2014年：アルミニウム精錬事業を終了。
2015年：株式会社東陽理化学研究所を子会社化。
2021年：名古屋工場でアルミ板製品の不正検査が発覚。名古屋工場のJIS認証取り消し。

グループ企業

アルミニウム関連の子会社

アルミナ・化成品、地金関係
アルミニウム線材株式会社
近畿研磨材工業株式会社
静岡興産株式会社
玉井商船株式会社
日軽エムシーアルミ株式会社
板、押出製品関係
日軽稲沢株式会社
日軽メタル株式会社
加工製品、関連事業関係
株式会社エヌ・エル・エム・エカル
エヌケイエス株式会社
日軽エンジニアリング株式会社
株式会社東邦アーステック
株式会社ニッカン
日軽産業株式会社
日軽情報システム株式会社
日軽熱交株式会社
日軽ニュービジネス株式会社
日軽パネルシステム株式会社
日軽物流株式会社
日軽北海道株式会社
日本電極株式会社
日軽松尾株式会社
株式会社東陽理化学研究所

日本軽金属ホールディングスの子会社

日軽金加工開発ホールディングス株式会社
日軽金アクト株式会社
日軽形材株式会社
日軽新潟株式会社
日軽蒲原株式会社
理研軽金属工業株式会社
株式会社エヌティーシー
日本フルハーフ株式会社
東洋アルミニウム株式会社
東海アルミ箔株式会社
東洋アルミエコープロダクツ株式会社
東海東洋アルミ販売株式会社

諸問題

森永ヒ素ミルク中毒事件

1955年、日本軽金属清水工場から排出された砒素を含む第二燐酸ソーダが、森永乳業徳島工場で粉ミルクの乳質安定剤として使用され、1万数千名もの乳児がヒ素中毒になり、死者も出た事件が発生しました。

富士川の公害

山梨県の自治体への補償金や天下り受け入れにより、富士川の汚染が黙認されたと報道されています。かつてはアユ釣りが盛んでしたが、近年はアユの生息がほとんど確認されていません。

サクラエビ漁業への影響

雨畑ダムの濁った水が富士川を経て駿河湾に注ぎ込み、サクラエビ漁業に影響を与えているとされています。ただし2023年には漁獲量が回復しています。

雨畑ダムにおける水害

雨畑ダムの堆砂が進み、川岸の集落に浸水等の水害を引き起こしています。

名古屋工場におけるアルミ板製品の不正検査

2021年、名古屋工場で生産するアルミ板製品の検査において、1996年頃から不正が行われていたことが発覚し、JIS認証が取り消されました。

テレビコマーシャル

『歌のワイド90分!』（日本テレビ系）のレギュラースポンサーを長年務めていました。
『吉川なよ子の爽やかゴルフ』、『塩谷育代のゴルフ魅せます』（テレビ東京系）に提供。
『富士登山駅伝』→SUT特番（テレビ静岡制作、フジテレビ系）に提供。

参考文献

柴垣和夫著『文庫版昭和の歴史第9巻講和から高度成長へ』小学館、1989年

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