集団農場

集団農場とは

集団農場とは、耕作を行う農民たちが組合を組織し、その組合によって所有・運営される農場の形態です。これはコミューンの一形態とも捉えられ、単なる農業施設としての機能に留まらず、組合員の共同生活を支える様々な福利厚生施設を併設している場合が多いのが特徴です。

社会主義国における集団農場

社会主義国においては、既存の農地を農業集団化する過程において、国策として半ば強制的に集団農場が形成されました。これは、農業生産の効率化や社会主義的な共同体の形成を目指したものでした。ソビエト連邦のコルホーズやソフホーズ、中国の人民公社などがその代表例として挙げられます。

コルホーズ、ソフホーズ（ソビエト連邦）：コルホーズは集団農場、ソフホーズは国営農場。
人民公社（中華人民共和国）：農業生産だけでなく、様々な社会活動を包括した組織。
ウジャマー村（タンザニア）：アフリカにおける社会主義政策の一環として形成。
北朝鮮：協同農場が組織され、「협동벌（キョプトンボル）」と呼ばれています。

北朝鮮の事例

北朝鮮では、以下のような集団農場が確認されています。

平壌直轄市 柳京キノコ工場
咸鏡南道高山郡 高山リンゴ総合農場
黄海北道沙里院市 嵋谷合同農場
黄海南道安岳郡 安岳合同農場
平壌市楽浪区域 松南合同農場
平壌市江南郡 長橋合同農場
開城特別市 龍山合同農場
平安北道新義州市 土城合同農場
平安北道新義州市 石下合同農場
平安北道龍川郡 新巌合同農場
江原道安辺郡 泉三合同農場
黄海北道松林市 チョンウン合同農場
平壌市力浦区域 小規模･野菜専門農場
平壌市兄弟山区域 兄山野菜専門農場
平安南道平原郡 三峯合同農場
咸鏡北道花台郡 邑合同農場

資本主義国における集団農場

一方、資本主義国においては、既存の農地が集団化される事例は非常に稀であり、主に開拓地において集団農場が形成されることが多いです。これらの農場は、特定の理想や共同生活を追求するグループによって運営される場合があります。

新しき村、幸福会ヤマギシ会（日本）：共同生活を基盤とした農業共同体。
キブツ（イスラエル）：社会主義的な理想を掲げた共同体。

集団農場の意思決定

集団農場における意思決定は、少なくとも表面上は民主的なプロセスによって行われます。組合員全員が参加する会議や投票によって、農場の運営方針や生産計画が決定されます。しかし、実際の運営においては、特定のメンバーやグループが主導権を握る場合もあるため、理想的な民主的運営が常に実現されているとは限りません。

まとめ

集団農場は、農業生産の形態だけでなく、共同生活や社会的な価値観を体現する場でもあります。社会主義国における国策的な形成から、資本主義国における理想を追求した共同体まで、その形態は多岐に渡ります。これらの事例を通して、農業と社会の関係について深く考えることができます。

関連事項

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