こんな女に誰がした

映画『こんな女に誰がした』について

『こんな女に誰がした』は、1949年（昭和24年）に公開された日本の長編劇映画です。監督は山本薩夫、製作は東横映画、配給は大映が担当しました。

制作の背景

第二次世界大戦後、東横映画は従来興行会社でしたが、大映との協定を結び、1947年（昭和22年）に「大映第二撮影所」（現在の東映京都撮影所）を「東横映画撮影所」として製作を開始しました。本作は、その3年目に製作された現代劇です。

映画のタイトル「こんな女に誰がした」は、1947年10月にテイチクレコードから発売された菊池章子の歌謡曲『星の流れに』のラストフレーズに由来しています。この歌は、映画製作当時、すでにヒットの兆しを見せていました。また、前年の1948年に公開された映画『肉体の門』でも、挿入歌として使用されていました。

キャストとスタッフ

本作には、当時の映画界や演劇界で活躍していた豪華なキャストが集結しました。主演の岸旗江、伊豆肇をはじめ、築地小劇場の土方与志、劇団民藝の宇野重吉、清水将夫、滝沢修など、舞台俳優も多数出演しています。また、企画には、日本映画演劇労働組合（日映演）初代委員長であり、東宝争議をめぐって東宝を退社した伊藤武郎が携わっています。

ストーリーの特徴

この映画は、戦後の混乱期を背景に、一人の女性が社会の荒波にもまれながらも、力強く生き抜いていく姿を描いています。社会派ドラマとしての側面も持ち合わせており、当時の社会情勢や人々の葛藤が、リアルに描かれています。

映画のデータ

製作：東横映画
上映時間：89分（9巻/2,435メートル）
フォーマット：白黒映画、スタンダードサイズ（1.37:1）、24fps、モノラル録音
映倫番号：A382（旧映倫）
公開日：1949年7月4日
配給：大映

スタッフ

製作：牧野満男
企画：伊藤武郎
脚本：八木保太郎、棚田吾郎、舟橋和郎
監督：山本薩夫
撮影：木塚誠一
照明：西川鶴三
美術：堀保治
録音：東城絹児郎
音楽：飯田信夫

キャスト

岸旗江 - 「ウタ子」役
伊豆肇 - 「塩沢一郎」役
沼崎勳 - 「瀬戸」役
千石規子 - 「派出看護婦会の女A」役
原泉子 - 「一郎の母」役
英百合子
常盤操子 - 「引揚船の中年婦人」役
秋庭米子 - 「由美子」役
瀧登紀子 - 「小池チカ子」役
沼田曜一 - 「研究所の小使」役
水原通子 - 「派出看護婦会の女B」役
西村秀子 - 「派出看護婦会の女C」役
千原由紀
土方与志 - 「一郎の父」役
宇野重吉 （民芸）
清水将夫 （民芸） - 「小池の夫」役
滝沢修 （民芸） - 「刑事」役
林春子 - 「塩沢家女中フサ」役
杉義一 - 「瑞穂商事の事務員A」役
月京介 - 「瑞穂商事の事務員B」役
小田切ふみ子 - 「給仕」役

その他

本作は、公開直前の1949年6月14日に「映画倫理規程管理委員会」（旧映倫）が結成されたため、映倫番号が付与されています。ただし、1954年8月まではレイティングは行われていませんでした。また、東横映画を配給するために東京映画配給（現在の東映）が設立されたのは同年10月1日のため、本作は大映が配給を担当しました。

東京国立近代美術館フィルムセンターには、本作の上映用プリントなどは所蔵されていません。

関連情報

東横映画
星の流れに
肉体の門 (1948年の映画)

外部リンク

国立国会図書館
文化庁日本映画情報システム
日本映画製作者連盟
日本映画データベース
キネマ旬報映画データベース
allcinema
KINENOTE

もう一度検索