アリソン・トランスミッション(Allison Transmission Inc.)は、
アメリカ合衆国に拠点を置く、
自動車用変速機メーカーです。特に、総重量8トン以上の大型車両向け
オートマチックトランスミッション市場で圧倒的なシェアを誇り、そのシェアは約80%にも達します。年間生産台数は22万基を超え、世界中の大型車両の動力伝達を支えています。
歴史
1915年、ジェームズ・アリソンによって
インディアナ州インディアナポリスで創業したアリソン・トランスミッションは、当初は
自動車部品の製造を手掛けていました。
1929年には
ゼネラルモーターズ(GM)に買収され、GMグループの一員となります。
1940年代には、第二次世界大戦で活躍した戦車用のトランスミッションを開発。その技術力は軍事分野でも高く評価されました。
1949年には、同社初となる
オートマチックトランスミッションを開発し、鉄道車両向けにも供給を開始。バッド製気動車に搭載され、鉄道輸送の近代化にも貢献しました。
1953年には、
リターダを開発し、車両の制動性能向上に貢献しました。
1964年、オハイオ州クリーブランドに戦車工場を新設。軍事用トランスミッションの製造能力を強化しました。
1970年にはデトロイトディーゼルグループの一員となります。
1972年11月には、日本法人「日本GMアリソン」を設立し、日本市場への本格的な進出を果たしました。
1980年代には、電子制御
オートマチックトランスミッションを開発。これにより、変速制御の精度と効率が飛躍的に向上しました。
1987年、デトロイトディーゼルから
ゼネラルモーターズグループに再編入されます。
2002年には、電気式ハイブリッド機構「EPシステム」を開発。環境負荷低減に貢献する技術開発にも積極的に取り組んでいます。
2007年6月、
オートマチックトランスミッションの累計生産台数が500万基を達成。世界的なメーカーとしての地位を確立しました。
2007年8月、
カーライル・グループと
オネックス・コーポレーションに売却され、GMグループから独立。同時に、アイシン精機(現:アイシン)との合弁契約も解消されました。
2012年3月、
ニューヨーク証券取引所に上場を果たし、株式市場での資金調達が可能になりました。
主な工場
アリソン・トランスミッションは、グローバルな生産体制を構築しており、以下の場所に工場を構えています。
インディアナポリス(アメリカ)
ボルティモア(アメリカ、メリーランド州)
Szentgotthárd(ハンガリー)
サントアマロ(ブラジル、
バイーア州)
チェンナイ(インド、
タミル・ナードゥ州)
EPシステム
「EPシステム」は、アリソンが開発したパラレル方式ハイブリッド機構です。
オートマチックトランスミッションに
電動機を組み合わせることで、燃費向上と排出ガス削減を実現します。アメリカでは、一部の路線バスで採用されており、都市部の環境対策に貢献しています。
日本におけるアリソン・トランスミッション
日本では、アリソンジャパン(Allison Transmission Japan)が輸入元およびアジアにおける販売元として活動しています。1972年に設立された「日本GMアリソン」は、GM、
伊藤忠商事、
川崎重工業、
いすゞ自動車の共同出資によるものでした。その後、1997年にアイシン精機とGMの共同出資に変わり「アイシンGMアリソン」と改称。
2007年のアリソン本体のGM離脱に伴い、現在の社名「アリソンジャパン」となりました。
日本市場では、バスやトラック向けの
オートマチックトランスミッションが主力製品であり、国内の主要4メーカーで採用されています。また、
京都バスでは、機械式AT車をアリソン製ATに換装した事例もあります。
設定車種
アリソン製の
オートマチックトランスミッションは、以下の車種に採用されています。
三菱ふそう・エアロスター(CNG
ノンステップバス、LKG-MP系以降に標準装備)
三菱ふそう・ファイター
日野・ブルーリボン(2代目)
日野・ブルーリボンII
日野・レインボーII
日野・レインボーHR(PB・PK-HR系のみ)
日野・レインボー(3代目)(2KG-KR系のマイナーチェンジ後)
日野・レンジャー
日野・プロフィア
いすゞ・エルガ
いすゞ・エルガミオ(初代)
いすゞ・エルガミオ(2代目のマイナーチェンジ後)
いすゞ・フォワード
日産ディーゼル・スペースランナーA(LKG-AP35F/LKG-AP37F系のみ標準装備)
日産ディーゼル・スペースランナーJP
UD・コンドル
関連項目
アリソン・エンジン:同根
企業。
デトロイト:ダイムラーアメリカの傘下
企業。1965年に経営統合。
飛鳥交通:グループのアスカテクノスがアリソンの指定小売店。
外部リンク
*
公式ウェブサイト(英語)