アーサー・ヘジルリッジ (第2代準男爵)

サー・アーサー・ヘジルリッジの生涯

サー・アーサー・ヘジルリッジ（1601年 - 1661年 1月7日）は、清教徒革命（イングランド内戦）期に活躍したイングランドの軍人であり、政治家です。彼は、初代準男爵トマス・ヘジルリッジとフランセス・ゴージス夫妻の息子として生まれました。ヘジルリッジは、その生涯を通じて、当時のイングランド政治に大きな影響を与えました。

政治家としての台頭

1640年、ヘジルリッジはレスターシャー選挙区から庶民院議員に選出され、政界でのキャリアをスタートさせました。彼は、ジョン・ピムやジョン・ハムデンといった反王党派のリーダーたちに次ぐ存在として、ヘンリー・ベイン、オリバー・シンジョン、デンジル・ホリスらと共に注目を集めました。ヘジルリッジは、カンタベリー大主教ウィリアム・ロードの宗教政策に強く反対し、ストラフォード伯トマス・ウェントワースの弾劾、そして根絶請願に基づく根絶法案の提出、民兵法案の提出において主導的な役割を果たしました。

これらの行動は、国王チャールズ1世の不興を買い、1642年 1月4日には、チャールズ1世が兵を率いて議会に乗り込むという事件が起こりました。この時、ヘジルリッジはピム、ハムデン、ホリス、ウィリアム・ストロードらと共に一時的に逃亡しましたが、チャールズ1世が退去した後、議会に復帰しました。

イングランド内戦での活躍

第一次イングランド内戦が勃発すると、ヘジルリッジは議会軍の兵士として戦場に立ちました。1642年 10月23日のエッジヒルの戦いに参戦し、1643年には騎兵隊を率いてウィリアム・ウォラーの軍に加わりました。彼は、7月5日のランズダウンの戦いと13日のラウンドウェイ・ダウンの戦いで王党派と戦いましたが、これらの戦いでは王党派の将軍ラルフ・ホプトンに敗北を喫しました。しかし、1644年のチェリトンの戦いでは、ウォラーの下で再びホプトンに勝利し、その軍事的才能を示しました。

独立派としての活動

1646年に第一次内戦が終わると、ヘジルリッジはオリバー・クロムウェルと共に独立派の指導者として、長老派に対抗しました。1648年に第二次イングランド内戦が勃発すると、ヘジルリッジはニューカッスルを守り抜き、クロムウェルに従ってスコットランド遠征にも参加しました。イングランド共和国時代には国務会議委員に任命されました。

クロムウェルとの対立

しかし、ヘジルリッジは共和主義者であったため、クロムウェルらニューモデル軍とランプ議会が対立すると、議会側を支持しました。彼は、両者の妥協に反対し、1653年 4月20日にクロムウェルがクーデターによって議会を武力解散させると、クロムウェルと決別し、反対派に回りました。

王政復古と晩年

1658年、ヘジルリッジは補欠選挙で政界に復帰し、共和主義勢力を率いて庶民院の主導権を握りました。彼は、第二議会において護国卿となったクロムウェルの政治を厳しく非難し、第二院の存在にも異議を唱え、政治を混乱させました。結果として、クロムウェルは議会を解散せざるを得なくなりました。クロムウェル死後の1659年には、再び国務会議委員に選ばれました。ヘジルリッジは、ジョージ・マンクのロンドン進撃を支持し、1660年4月にはジョン・ランバートの反乱を鎮圧しましたが、チャールズ2世の帰還に反対したため、王政復古後に逮捕されました。マンクの尽力により死刑は免れたものの、釈放されることなく、1661年にロンドン塔で獄死しました。

ヘジルリッジの生涯は、清教徒革命という激動の時代を反映しており、彼の行動は当時のイングランド政治に大きな影響を与えました。

参考文献

浜林正夫『イギリス市民革命史』未來社、1959年。
松村赳・富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。
清水雅夫『王冠のないイギリス王オリバー・クロムウェル―ピューリタン革命史』リーベル出版、2007年。
サミュエル・ローソン・ガードナー著、小野雄一訳『大内乱史Ⅰ:ガーディナーのピューリタン革命史』三省堂書店、2011年。
シセリー・ヴェロニカ・ウェッジウッド著、瀬原義生訳『イギリス・ピューリタン革命―王の戦争―』文理閣、2015年。