コーノ・スール

コーノ・スール：南アメリカの南端に位置する地域

コーノ・スール（スペイン語: Cono Sur, ポルトガル語: Cone Sul, 英語: Southern Cone）は、南回帰線以南の南アメリカ大陸の南端部を指す地理的範囲です。日本語では「南の角」と訳されます。社会地理学や政治地理学の観点から、アルゼンチン、チリ、ウルグアイが含まれます。共通の歴史や地理的要因から、ボリビアとパラグアイ南部、ブラジル南部・南東部のいくつかの州を含むこともあります。

言語

この地域で主に話されているのはスペイン語（カスティーリャ語）です。これは、16世紀から19世紀までスペインの植民地支配下にあったことに由来します。ブラジルを含める場合は、ポルトガル語がそれに次ぐ言語となります。

アルゼンチンからブラジル南部にかけての地方のコミュニティでは、イタリア語（主にイタリア北部方言）が話されています。また、ドイツ語の方言もブラジル南部、アルゼンチン南部、チリ南部で使われています。

リオプラテンセ・スペイン語、特にブエノスアイレス方言は、イタリア語の方言に似た抑揚を持つことが研究で示されています。これは、19世紀以降にアルゼンチンが多数のイタリア系移民を受け入れてきたことによる影響と考えられています。

フォークランド諸島では英語が話されており、アルゼンチンのパタゴニア地域ではウェールズ語が話されています。ブラジル南東部には日本語を話すコミュニティがあり、主要都市には韓国語話者がいます。また、ブラジル国境地域ではポルトゥニョール・リヴェレンセというポルトガル語とスペイン語のピジン言語が話されています。

先住民の言語としては、マプドゥングン語（マプーチェ語）やグアラニー語などがあります。グアラニー語はパラグアイの公用語の一つであり、アルゼンチン北東部のコリエンテス州・ミシオネス州でも公用語として使用されています。

住民とエスニシティ

コーノ・スールの人口は、アルゼンチンが約3,930万人、チリが約1,640万人、ウルグアイが約330万人です。ブエノスアイレス、サンティアゴ・デ・チレ、サンパウロなどの大都市圏を抱えています。

エスニシティに関しては、コーノ・スールの人口はヨーロッパ系が多数を占めています。特にアルゼンチン、ウルグアイ、チリ、ブラジル南部では、人口の80％以上がヨーロッパ系です。アルゼンチンは先住民と移民が混ざり合った人種のるつぼであり、白人系ラテンアメリカ人が人口の大多数を占めています。

パラグアイではメスティーソ（白人とインディオの混血）が人口の多数を占めており、ヨーロッパ人移民の影響が大きいです。チリの人口も、白人と白人系メスティーソが中心です。

教育と生活水準

コーノ・スールは、比較的高い生活水準とクオリティ・オブ・ライフを誇っています。アルゼンチンとチリの人間開発指数はラテンアメリカで最も高く、中欧の豊かな国々と並びます。高い平均寿命、健康と教育へのアクセスにより、コーノ・スールはラテンアメリカで最も繁栄した地域となっています。

宗教

この地域の多数派はローマ・カトリックですが、イスラム教、イギリス国教会、東方正教会、仏教、道教などの信者も存在します。アルゼンチンのブエノスアイレスとウルグアイのモンテビデオにはユダヤ教のコミュニティがあります。ウルグアイはラテンアメリカで最も世俗的な国であり、教会と国家が強く分離されています。

地理

気候は温暖ですが、亜熱帯、地中海性気候、高地熱帯気候、海洋性気候、亜極地気候、寒冷高地気候、砂漠気候など多様です。アタカマ砂漠は地球上で最も乾燥した場所です。

植物

コーノ・スールで最も特徴的な植物は、アルゼンチンとチリに見られるアラウカリアの木です。アルゼンチン中部のステップ地域、ウルグアイ、ブラジル南部はパンパとして知られており、ガウチョと呼ばれる人々が暮らしています。

政治

20世紀後半、これらの国々は軍事独裁政権によって統治されましたが、1990年代までに民主主義が復活しました。ウルグアイとアルゼンチンには社会福祉政策にリベラルな伝統があり、しばしば「ラテンアメリカのスイス」と言われます。

政治地理学的な変遷

軍事独裁政権下では、アルゼンチン、ウルグアイ、チリに加え、ブラジルもコーノ・スールに含まれるとみなされていました。民主主義政権が樹立された今日では、ブラジル南部の州が恒常的に定義に含まれます。パラグアイは、政治的な観点からコーノ・スールの一員として扱われることもありますが、経済状況や気候の違いから除外されることもあります。

関連項目

ABC諸国
メルコスール

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