サマンガーン州

サマンガーン州の概要

サマンガーン州は、アフガニスタン北部に位置する州で、面積は約1万3438平方キロメートルと福島県とほぼ同じ広さです。人口は約37万人で、人口密度は1平方キロメートルあたり27人です。州都はアイーバクで、四方を山脈に囲まれた中山間地が大部分を占めています。

地理

州の地形は山がちで、特に北部には複雑な盆地が広がっています。この盆地には州都アイーバクがあり、アジアハイウェー76号線が通っています。フルム川が州の南北を弧を描くように流れ、この地域に水を供給しています。

歴史

古代

1世紀頃、この地域はクシャーナ朝の支配下にありました。クシャーナ朝時代には、仏教が広まり、タフティ・ルスタムと呼ばれる岩をくり抜いて作られた仏教遺跡が現在も残っています。この遺跡は、バーミヤーンやジャラーラーバードにある仏教遺跡と並ぶ、アフガニスタンでも最大級のものです。1993年には、ラバータク村でカニシカ1世の碑文が発見され、クシャーナ朝の歴史研究に重要な貢献をしました。

中世

11世紀のペルシャの叙事詩「シャー・ナーメ」には、サマンガーンの名が登場します。この物語では、主人公の一人ロスタムがサマンガーンの王女と結婚したとされています。9世紀から10世紀にかけては、この地域はサーマーン朝の支配下にありました。

近代

1845年、ドースト・ムハンマド・ハーンがアフガニスタン北部へ進軍し、当時ウズベク人のアミールが支配していたアイーバクを含むこの地域を制圧しました。

冷戦時代

サマンガーン州は1958年から1964年頃に独立した州となりました。その後、1980年代には北部の一部がバルフ州に、また一部がサーレポル州に割譲されました。

アメリカ同時多発テロ事件以降

2000年代以降、アフガニスタンでは大統領選挙が実施され、サマンガーン州でも選挙が行われました。2012年には、州都アイーバクで自爆テロが発生し、下院議員が殺害される事件も起きました。2012年には、ISAF軍からアフガニスタン軍への治安権限移譲が行われました。2021年には、ターリバーンが州都アイーバクを占領しました。

行政区分

サマンガーン州は、1市6郡で構成されています。州都はアイーバクです。

アイーバク（Aybak District）
ダラソフ・バッラ
ダラソフ・パヤン
フェローズ・ナフチル（Feroz Nakhchir District）
ハズラティ・スルターン（Hazrati Sultan District）
フラム・ワ・サール・バーグ（Khuram Wa Sarbagh District）
ルイ・ドゥアブ（Ruyi Du Ab District）

主要都市

州都アイーバクの人口は約10万人です。

産業

農業

サマンガーン州の経済は農業に依存しており、アーモンドやザクロの生産量は全国的に見ても上位です。また、小麦の生産も行われています。農業収入を増やすためのピスタチオの森の再生も進められています。

鉱業

ダライソープ炭鉱が主要な鉱業資源です。

住民

民族

サマンガーン州の主な民族はウズベク人とタジク人です。その他にもパシュトゥーン人、ハザーラ人、アラブ人、タタール人が暮らしています。

言語

主要言語はダリー語で、次いでウズベク語が話されています。

宗教

イスラム教が主流です。

主な出身者

アブドゥル・サタール・シラート：アフガニスタンの政治家、王政時代の法務大臣

関連事項

* アルスラーン戦記：小説の舞台の一つとして登場します。

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