ジョグダイヤル

ジョグダイヤルとは

ジョグダイヤルは、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ（現：ソニーモバイルコミュニケーションズ）が開発した、回転式のセレクターです。主に携帯電話やソニー製のAV機器に搭載され、独特の操作感で知られています。

概要

ジョグダイヤルは、従来の方向キーとは異なり、指で上下に回転させることでカーソルを移動させます。決定操作は、ジョグダイヤルを押し込むことで行います。この独特な操作体系は、「クルクルピッピ」とCMで表現されることもありました。

他社にはない操作性から、熱狂的なファンも存在しましたが、その特殊さから一部のユーザーからは敬遠されることもありました。また、携帯電話においては、省スペース化や大画面化に不向きな形状、ゲーム操作への不適合、誤作動、駆動負荷による故障などの要因が重なり、採用機種は減少していきました。しかし、2007年には「＋JOG（プラスジョグ）」として復活しました。

携帯電話以外にも、ソニー製のパソコン、PDA、電子辞書、ウォークマン、ミニコンポ、AVアンプ、カーナビなど、幅広い機器に採用されました。

家庭用AV機器におけるジョグダイヤルの歴史

ジョグダイヤルが初めて搭載されたのは、1985年のベータマックス方式のビデオデッキ「SL-HF900」です。本体右側に円形のジョグダイヤルがあり、さらに内側のふたを開けると、外側のジョグダイヤルと連携する機構がありました。操作しやすいように指を添える穴が設けられ、このデザインは後のビデオデッキにも広く採用されました。

ジョグダイヤルの主な役割は、ビデオ映像のコマ送りやタイマー予約の操作です。回転角度で正逆のスピードをコントロールする「シャトルリング」も搭載され、業務用機器の機能を一般家庭向けに展開しました。

その後、ソニーだけでなく、パナソニック、日本ビクター、シャープ、三菱電機、東芝などのメーカーも、高級機にジョグダイヤルを搭載しました。リモコンにも同様の機能を備えた機種が登場し、ジョグダイヤルはビデオデッキの機能面での優位性を象徴するものでした。

時が経つにつれてジョグダイヤルという言葉自体が使われなくなりましたが、ソニーは様々な機器にジョグダイヤルを搭載し続けました。2004年頃には、DIGAのリモコンにもジョグシャトルが搭載されました。

なお、センタージョグは、携帯電話に搭載される以前に、ブラウン管カラーテレビ「トリニトロン」の「キララバッソ」のリモコンやカーオーディオに採用されていました。ただし、これらの機器では「ローラー」や「ジョグローラー」と呼ばれていました。

携帯電話の搭載機種

ジョグダイヤルには、いくつかの種類があります。

サイドジョグ

携帯電話の側面にジョグダイヤルがあるタイプです。一部機種では、ダイヤルを押し込むだけでなく、倒すことのできる3Dジョグが搭載されていました。

NTTドコモ
SO101
SO201
SO206
SO207

au（旧IDO・セルラー）
527G
534G
C101S
C305S

J-PHONE
J-SY01

Tu-Ka
TH251
TH261
TH271
TH281
TH291

センタージョグ

十字キーの上下方向の操作部分をジョグダイヤルに置き換えたタイプです。初期の機種はプラスチック製でしたが、故障が多かったため、後に金属製に変更されました。

NTTドコモ
SO502i
SO502iWM
SO503i
SO210i
SO503iS
SO211i
SO504i
SO212i
SO505i

au
705G(IDO)/D306S(DDIセルラー)
C404S
C406S
C413S
C1002S
A3014S
A1101S
A1301S
A5402S
A5404S
A1402S
W21S
A1404S
A1404SⅡ

ディスクジョグ

小型で円形の十字キーに沿って配置された円盤状のジョグダイヤルです。三菱製端末の「スピードセレクター」は、このジョグダイヤルの発展系と言えます。

NTTドコモ
SO505iS
SO506iC

＋JOG（プラスジョグ）

十字キーの内側にある決定キーにジョグ機能を付加したタイプです。従来のジョグダイヤルの欠点であった操作体系やサイズを、十字キーと一体化させることで解決しました。非接点JOG構造を採用し、耐久性が向上しています。

NTTドコモ
SO905i
SO905iCS

au
W53S

ジョグダイヤルは、その独特な操作感とデザインで多くのファンを魅了しましたが、技術の進化とともにその姿を消していきました。しかし、その革新的なアイデアは、後の製品開発に大きな影響を与えました。

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