ジョン・テンタ

ジョン・テンタ：相撲からプロレスへの転身、そして波乱万丈の生涯

ジョン・テンタ（1963年6月22日 - 2006年6月7日）は、カナダ出身のプロレスラーとして広く知られています。しかし彼のキャリアは、大[[相撲]]力士としての経歴から始まりました。恵まれた体格とレスリング経験を活かし、1985年に来日。佐渡ヶ嶽部屋に入門し、琴天太、のちに琴天山として活躍します。

大[[相撲]]時代：成功と挫折

初土俵から序ノ口、序二段、三段目と全勝優勝を続け、21連勝という驚異的な記録を打ち立てました。しかし、東幕下43枚目への昇進を目前に、突如として部屋を飛び出し、廃業という決断を下します。この決断の裏には、言葉の壁、異文化への適応の困難、そして自由に恋愛ができないといった、相撲生活への不満が潜んでいました。怪我や将来への不安、さらには人間関係の悩みも廃業の要因の一つだったと言われています。部屋の関取との不仲や、怪我の際の待遇に関する不満も、彼の決断に影響を与えた可能性があります。

彼の才能を高く評価していた佐渡ヶ嶽親方は、彼のわがままを許そうとしていたものの、結果的には適切な指導ができなかったと反省しています。当時の報道では、失踪に同行した通訳との恋愛関係が大きく取り上げられましたが、怪我の保障に関する親方からの回答に不満を持っていたという証言もあります。これらの要素が複雑に絡み合い、若き力士の相撲人生に終止符を打ちました。なお、来日前に左腕に入れていたトラのタトゥーは、相撲の取組ではテーピングで隠されていました。2019年の力士規定改正で入れ墨が禁止されたことは、彼の経験を改めて考えさせる出来事と言えるでしょう。

プロレス転向：華々しい活躍と数々のタイトル

相撲界からの電撃退場後、ジョン・テンタはプロレス界へと転身します。新日本プロレスと全日本プロレスの興行に相次いで来場し、大きな注目を集めました。最終的に全日本プロレスに入団した経緯は諸説ありますが、プロレスマスコミには皮肉を込めた記事も掲載されました。その後、全日本プロレスでは、ジャイアント馬場とのタッグマッチでデビュー。UWAヘビー級王座、カナディアン・ヘビー級王座を獲得するなど、華々しい活躍を見せました。ブルーザー・ブロディからもそのプロレスラーとしての才能を高く評価されたと伝えられています。

1989年にはWWFに移籍し、アースクエイクとしてヒール（悪役）として活躍。ジミー・ハートをマネージャーに、ディノ・ブラボーと組んで、ハルク・ホーガンやアルティメット・ウォリアーらと激しい抗争を繰り広げました。タイフーンとのタッグチーム「ナチュラル・ディザスターズ」を結成し、リージョン・オブ・ドゥームとも激闘を演じました。WWF在籍中にはSWSにも参戦し、北尾光司との抗争は大きな話題となりました。北尾との試合では、北尾の危険な行為や反則負けに絡む騒動が勃発し、この出来事はアメリカのレスラーたちの間で「日本の元横綱がテンタにシュートを仕掛けてきた」という噂を広めることになりました。

その後、ベビーフェイス（正義の味方）に転向し、タイフーンと組んでWWF世界タッグ王座を獲得。ヨコズナとの相撲マッチなども行いました。その後、WCWに移籍し、ジ・アバランシュやザ・シャークとして活躍。ハルク・ホーガンとの抗争も再開されました。日本ではWAR、新日本プロレス、UWFインターナショナルなどにも参戦。WWFにも復帰し、マスクマンのゴルガとして活動しました。

プロレスラーとしてのスタイルと技

ジョン・テンタの得意技は、ランニング・ヒップ・ドロップ（アースクエイク・スプラッシュ）でした。助走をつけてジャンプし、大きな音を立てながら相手の上に落下するこの技は、彼のトレードマークとなりました。その他、ランニング・ボディ・プレスやオクラホマ・スタンピード（アバランシュ・スラム）なども得意としていました。

晩年と死

セミリタイア後はフロリダ州でプロレスリングスクールを運営。レッスルマニアX-Sevenにも出場するなど、プロレス界との関わりを続けました。しかし、2004年に体調不良を訴え現役を引退。2006年6月7日、42歳の若さで膀胱癌のため死去しました。

ジョン・テンタの生涯は、国境を越えたプロレスラーとしての成功と、大[[相撲]]における挫折、そして多くの困難を乗り越えてきた波乱に満ちたものでした。彼の功績は、多くのプロレスファンに記憶され続けています。

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