マイケル・カーティス

マイケル・カーティス：ハリウッド黄金期を彩った名匠

マイケル・カーティス（Michael Curtiz、本名：ケルテース・ミハーイ）は、1888年12月24日にハンガリーのブダペストで生まれ、1962年4月11日にこの世を去った映画監督です。彼はアシュケナジム・ユダヤ人の家庭に育ち、マルコシー大学と王立芸術アカデミーで演劇を学びました。1906年に舞台俳優としてデビューし、その後映画の世界へと足を踏み入れました。

初期の活動と亡命

カーティスは1912年に『Ma es Holnap』で映画監督としてデビュー。第一次世界大戦中は記録映画班で活動し、当時左翼思想の持ち主であった彼は、1918年にはハンガリーで左翼陣営のプロパガンダ映画を制作しました。しかし、1919年にハンガリーでの共産主義革命が失敗に終わると、彼はドイツへと亡命しました。

ハリウッドでの成功

1927年、カーティスは同じユダヤ系のワーナー・ブラザースのジャック・L・ワーナーに招かれ、ハリウッドに拠点を移しアメリカに帰化します。1930年代には、『海賊ブラッド』や『ロビンフッドの冒険』など、エロール・フリン主演の冒険活劇で人気を博しました。特にフリンとのコンビは8本の映画を生み出しましたが、実際にはカーティスはフリンのことを快く思っていなかったと言われています。1942年には、彼の代表作の一つとなる『カサブランカ』が公開されました。しかし、皮肉なことに、カーティス自身はこの作品をそれほど気に入っていなかったようです。

ドリス・デイの発見とキャリア

1948年の『洋上のロマンス』では、カーティスはオーディションでドリス・デイを主役に抜擢しました。デイは演技経験のない歌手だったにもかかわらず、その才能を見抜いたカーティスは、彼女を主演に起用し、彼女のキャリアを大きく飛躍させました。また、カーティスはデイのそばかすがアメリカ人女性の象徴だと語ったと言われています。1950年の『情熱の狂想曲』では、カーク・ダグラス、ローレン・バコール、ドリス・デイという豪華なキャストが共演。また、伝記映画『アメリカ野郎』では、バート・ランカスターが1912年ストックホルムオリンピックで金メダルを獲得した実在のネイティブ・アメリカンを演じ、スポーツ映画史上に残る傑作となりました。1951年には、『夢で逢いましょう』で再びドリス・デイを主演に起用し、ガス・カーンの伝記ミュージカル映画を制作しました。

その後のキャリアと晩年

カーティスはその後も、『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』、『夜も昼も』、『ホワイト・クリスマス』など数々のヒット作を世に送り出し、ハリウッドを代表する職人監督としての地位を確立しました。しかし、1950年代のスタジオ・システム崩壊後は、ヒット作に恵まれることは少なくなりました。

1962年4月11日、癌のためこの世を去りました。彼の死後も、彼の功績は語り継がれ、多くの人々に影響を与え続けています。

逸話

デヴィッド・ニーヴンが出演した映画『カンサス騎兵隊』の撮影現場での逸話は有名です。カーティス監督がスタッフに「乗り手のいない馬を連れて来い」と言うべきところを、「Bring on the empty horses（空の馬を連れて来い）」と言い間違えたそうです。この言葉にニーヴンとエロール・フリンは大笑いし、カーティスの不機嫌な顔にも関わらず、腹を抱えて笑い転げたと言われています。後に、ニーヴンはこの言葉を自伝のタイトルにしました。

主な監督作品

『イスラエルの月』 (1924年)
『テンダーロイン』 (1928年)
『ノアの箱船』 (1928年)
『狂へる天才』 (1931年)
『モンテ・カルロの女』 (1932年)
『ドクターX』 (1932年)
『暁の耕地』 (1932年)
『春なき二万年』 (1932年)
『ケンネル殺人事件』 (1933年)
『肉の蝋人形』 (1933年)
『偽者紳士』 (1934年)
『海賊ブラッド』 (1935年)
『歩く死骸』 (1936年)
『山の法律』 (1937年)
『ロビンフッドの冒険』 (1938年)
『汚れた顔の天使』 (1938年)
『四人の姉妹』 (1938年)
『無法者の群』 (1939年)
『女王エリザベス』 (1939年)
『カンサス騎兵隊』 (1940年)
『ヴァージニアの血闘』 (1940年)
『シー・ホーク』 (1940年)
『海の狼』 (1941年)
『急降下爆撃隊』 (1941年)
『カサブランカ』 (1942年)
『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』 (1942年)
『モスクワへの密使』 (1943年)
『ミルドレッド・ピアース』 (1945年)
『夜も昼も』 (1946年)
『洋上のロマンス』 (1948年)
『燃えつきた欲望』 (1950年)
『破局』 (1950年)
『アメリカ野郎』 (1951年)
『夢であいましょう』 (1951年)
『ジャズ・シンガー』 (1952年)
『ホワイト・クリスマス』 (1954年)
『エジプト人』 (1954年)
『俺たちは天使じゃない』 (1955年)
『闇に響く声』 (1958年)
『ハックルベリーの冒険』 (1960年)
『剣と十字架』 (1961年)
『コマンチェロ』 (1961年)

受賞歴

アカデミー賞

受賞
1944年 アカデミー監督賞:『カサブランカ』
ノミネート
1936年 アカデミー監督賞:『海賊ブラッド』
1939年 アカデミー監督賞:『汚れた顔の天使』、『四人の姉妹』
1943年 アカデミー監督賞:『ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ』

外部リンク

マイケル・カーティス - allcinema
マイケル・カーティズ - KINENOTE
* Michael Curtiz - IMDb（英語）

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