交通部 (中華民国)

中華民国交通部について

中華民国交通部（Ministry of Transportation and Communications, MOTC）は、行政院に属する省庁であり、郵政、電気通信、運輸、気象、観光など、国民生活に不可欠な広範な分野を管轄しています。日本の旧運輸省、旧郵政省、旧運輸通信省に相当する役割を担っており、台湾の交通インフラの整備と発展において中心的な役割を果たしています。

歴史

第二次世界大戦以前

交通部の歴史は清朝末期の郵傳部の設立にまで遡ります。1912年1月3日、中華民国臨時政府の内閣は郵傳部を廃止し、交通部を設置することを発表しました。この時、交通部は陸運、空運、郵便、電信の4つの行政領域を管轄していました。その後、1917年には広東軍政府も交通部を設置しています。

1926年11月には国民政府が交通部組織法を公布し、孫科が初代交通部長に任命されました。1927年5月16日には、国民政府が南京市に交通部を設置し、王伯群が大臣に就任しました。同年8月8日には交通部組織法が公布され、10月20日には交通部が国民政府から行政院に移管されました。1928年10月23日には交通部道路局が廃止され、その管轄下にあった鉄道事務は新設された国民政府鉄道部に移管されましたが、1938年1月1日には鉄道部が廃止され、再び交通部に統合されました。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後、交通復員準備委員会が設置され、1946年1月には戦時交通管理局が廃止され、高速道路は交通部高速道路総局に返還されました。同年3月には各鉄道管理局の組織規定が公布され、全国の電気通信地域区分が調整・変更されました。1948年には、動員戡乱時期臨時条款制定後も設立が維持されました。

中華民国政府台湾移転後

中華民国政府が台湾に移転した後、交通部は1956年に台北市中正区長沙街の旧台湾総督府交通局逓信部をオフィスとして使用を開始しました。

2006年以前は、交通部が管理する通信事業は、郵便事業、電気通信事業、放送事業（ラジオ・テレビ放送を含む）で構成されていましたが、2006年に国家通訊伝播委員会（NCC）が設立された後、放送事業はNCCに移管され、電気通信事業もNCCと分割されました。ただし、郵便事業は従来通り交通部が管轄しています。

2006年11月10日には、交通部は台北市中正区仁愛路の交通通訊傳播ビルに移転し、国家通訊伝播委員会と同居することになりました。旧台湾総督府交通局逓信部は、その後2010年4月まで国史館として使用されました。

交通部傘下の国有企業には、中華郵政股份有限公司、桃園国際機場公司、台湾港務股份有限公司、台湾鉄路管理局などがあります。また、中華電信、チャイナエアライン、台湾高速鉄路公司、台北捷運公司（前者2社は中国航空発展基金会を通じて保有）、桃園航勤股份有限公司、陽明海運公司などの交通関連企業の株式も保有しています。

2010年2月には行政院組織法が改正され、交通部を「交通及建設部」に改編する案が提案されました。これにより、旧交通部と旧行政院公共事業委員会、内政部建設局（現在の内政部土地管理局）を統合し、交通、運輸、観光、郵便に加え、建設、公共事業などのインフラ整備と技術仕様、政府調達などを担当する計画がありました。しかし、2013年から2021年にかけて3回にわたり立法院で審議されたものの、政府と野党の合意が得られず、法案は成立しませんでした。

2018年6月11日には、台湾高速鉄道や地方都市の捷運で設計施工を担当していた部局の高速鉄路工程局と台湾鉄路管理局の路線改良・新設を担当していた鉄路改建工程局が統合され、鉄道局が新設されました。

2021年3月25日には、行政院が組織改革法案を可決し、交通部はデジタル発展部の設立に伴い合併し、関連業務を移管することが決定しました。しかし、2023年4月26日には行政院組織法が改正され、交通部の名称が再度復活しました。5月16日には立法院が交通部組織法改正草案の第三読会を通過し、6月7日には交通部組織改革法案が可決され、9月15日には新法に基づく組織改革が実施され、中央気象署、観光署、公路局が格上げ・改称されました。

組織

交通部の組織は以下の通りです。

交通部長
交通部次長（常務次長2名、政務次長1名）
部内組織
秘書室
技監室
参事室
路政司
郵電司
航政司
総務司
人事処
政風処
会計処
統計処
道路交通安全監督委員会
法規委員会
訴願審議委員会
交通動員委員会
管理情報センター
科技コンサルタント室
交通事業管理小組
所属機関
観光署
中央気象署
公路局
高速公路局
鉄道局
民用航空局
航港局
運輸研究所
所属機構
台湾鉄路公司
中華郵政
桃園国際機場公司
* 台湾港務公司


交通部は、台湾の交通インフラの整備と発展に重要な役割を果たしており、今後もその活動が注目されます。

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