伊達宗村 (仙台藩主)

伊達宗村

伊達宗村（だて むねむら）は、江戸時代中期から後期にかけての大名であり、仙台藩の6代藩主、伊達氏の22代当主です。官位は従四位上・侍従、左近衛権中将、越前守、陸奥守を歴任しました。

生涯

享保3年（1718年）5月27日、5代藩主・伊達吉村の四男として誕生しました。母は正室・長松院（冬姫）です。幼少の頃より藩儒・田辺希文から学問を学びました。長兄・村匡、次兄の菊次郎が早世し、三兄の村風が分家したため、宗村が嫡子となりました。初めは久村（ひさむら）と名乗っていましたが、後に8代将軍・徳川吉宗から偏諱を受け、宗村と改名しました。また、吉宗の跡を継いで紀州藩主となっていた徳川宗直の次女・利根姫を正室に迎えました。寛保3年（1743年）に父・吉村から家督を譲り受け、仙台藩主となりました。

宗村は父と同様に文学に優れ、多くの書を残しました。また、馬術、槍術、剣術、軍術、砲術にも精通しており、智勇兼備の人物として知られています。宝暦6年5月24日（1756年6月21日）、39歳で死去し、家督は嫡男・国村（後の伊達重村）が継ぎました。

人物・逸話

細川宗孝江戸城中横死事件

延享4年（1747年）8月15日、江戸城内で熊本藩主・細川宗孝が旗本・板倉勝該に斬られるという事件が発生しました。宗孝には御目見を済ませた世子がいなかったため、細川家は無嗣断絶の危機に瀕しました。その際、たまたま居合わせた宗村が、「宗孝にはまだ息がある」と機転を利かせ、細川家の家臣に屋敷へ運び手当てをするよう助言しました。これにより、家臣たちは宗孝の遺体を生きているものとして藩邸に運び込み、弟の重賢を末期養子に指名して幕府に届け出て、事無きを得たと言われています。

北原金平直訴事件

宗村の治世中には、領民から年貢減免の直訴を受けたという逸話が伝えられています。亘理町逢隈中泉の八幡神社にある「義民北原金平顕彰碑」には、宝暦2年（1752年）に大凶作に見舞われた仙台藩において、農民・北原金平が年貢減免を求めて直訴したものの、参勤交代の帰途であった宗村によって宅地・田畑を没収された上、磔刑に処されたと記されています。

ただし、この記述には史実との隔たりが見られます。『伊達治家記録』によれば、金平は領主である伊達宗村に直訴したのではなく、宇多亘理大肝入の鈴木勇喜右衛門宅に郡内の者と乱入・襲撃したために磔に処せられたとされています。また、この事件当時の仙台藩主は伊達宗村ではなく、宝暦6年（1756年）に家督を継いだ伊達重村です。さらに、坂津田村の『安永風土記御用書出』によれば、鈴木勇喜右衛門が大肝入に任命されたのは延享4年（1747年）であり、金平が首謀した一揆は宝暦8年以降の出来事と考えられています。

系譜

父：伊達吉村
母：長松院（久我通名の娘）
正室：雲松院（徳川宗直の娘）
側室：性善院、證子、豊、静子、円智院、於登恵の方、諫貞院

長男：伊達久米之丞
次男：伊達重村（7代藩主）
三男：土井利徳（土井利信の養子）
四男：伊達村倫（涌谷伊達家8代当主）
五男：某
六男：土井利置（土井利信の養子）
七男：伊達藤七郎
八男：堀田正敦（堀田正富の養子）
長女：霊松院（鍋島重茂正室）
次女：沛姫
三女：
四女：愷姫（酒井忠貫正室）
五女：認姫（中村景貞室）
六女：直姫
七女：従姫
八女：瑛姫
九女：せい姫（松平治郷正室）
十女：才姫
十一女：房姫
十二女：珋姫

偏諱を受けた人物

宗村の在位中（1743年 - 1756年）に偏諱を受けた人物は以下の通りです。

伊達重村（次男・嫡男）
田村村隆
伊達村良
伊達村煕
伊達村利
伊達村香
伊達村富
伊達村嘉
伊達村頼
片倉村廉
白河村光
白河村祐
* 三沢村保

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