会津盆地

会津盆地

会津盆地は、福島県の西半分を占める会津地方に位置する盆地で、南北約34km、東西約13kmの縦長の楕円形をしています。盆地の中核都市である会津若松市は南東に、喜多方市は北西に位置し、盆地の東と西にはそれぞれ断層帯が確認されています。

地理

盆地は構造盆地であり、東は磐梯山や猪苗代湖を含む奥羽山脈、南は会津高原、西は越後山脈、北は飯豊山地に囲まれています。盆地床は「会津平」と呼ばれ、標高175-220mの平坦地が広がっています。中央部には、阿賀川（大川）が南南東から北北西に流れ、喜多方市付近で日橋川や湯川と合流し、西へと流れを変えます。

阿賀川は、越後山脈を蛇行しながら流れ、只見川と合流し、新潟県境で阿賀野川と名前を変え、日本海に注ぎます。

成り立ち

約800万～1000万年前、この地は日本海から阿賀野川沿いに伸びる入り江だったと考えられています。その後の海面の後退と、西縁断層帯以西の隆起により、野沢盆地と分離しました。かつて海だったことを示す証拠として、喜多方市高郷町付近では、カイギュウやクジラの化石、大量の二枚貝の化石が出土しています。

陸地化した後、猪苗代湖から日橋川、阿賀川を結ぶ線以北は、大塩川、田付川、濁川が複合扇状地を形成し、一方、日橋川以南は湯川、大川、氷玉川、宮川が複合扇状地を形成し、現在の盆地が形成されました。

気候

会津盆地は、日本海側気候と内陸性気候の影響を受け、寒暖差が激しいのが特徴です。夏は暑く、冬は厳しい寒さに見舞われます。冬には降雪も見られますが、積雪が1mを超えることは稀です。

会津若松市の例では、8月の平均気温は24.8℃、月間降水量は131mm、1月の平均気温は-0.7℃、最深積雪は58cmです。夏は、東風によるフェーン現象で高温になることが多く、奥羽山脈の東側で問題となるやませによる冷害の影響は受けにくいとされています。

文化

会津盆地周辺には、旧石器時代から人が定住していたと考えられ、縄文土器も多数出土しています。しかし、「あいづだいら」は阿賀川の氾濫によって定住が難しく、治水事業が進んだことで、穀倉地帯へと変わりました。

山間部には平家の落人伝説が残る地域もあります。江戸時代には会津地震、幕末には戊辰戦争（会津戦争）など、大きな出来事があり、人口は一時停滞しましたが、昭和時代には黒鉱ブームや電源開発ブームで人口が増加しました。しかし、現在は過疎化と高齢化が進んでいます。昭和村の昭和温泉は、黒鉱探査時の試掘で湧出した温泉です。

言語は、会津弁という東北方言が話されていますが、地域によって方言のニュアンスに違いがあります。

食文化では、海から遠いため、野菜は漬物として保存されることが多く、乾物類が阿賀野川経由で運ばれていました。北前船で運ばれた身欠きニシンや棒鱈を使った料理は、現在でも伝統の食文化として受け継がれています。近年では、道路網の充実により、生鮮食品も入手しやすくなっています。

交通

道路

磐越自動車道と国道49号が東西に走り、会津若松市を中心に国道や主要道が放射状に延びています。かつては峠道が交通の難所でしたが、トンネルなどの整備により改善されました。

鉄道

磐越西線は、会津若松駅でスイッチバックし、東は郡山方面、西は新津方面へと向かいます。只見線は、会津坂下駅～塔寺駅間で盆地の西端を通り、上越線小出駅へと延びています。会津鉄道は、西若松駅から分岐し、盆地南端を経て野岩鉄道・東武鉄道へと続いています。

産業

第一次産業

水稲栽培が中心で、良質な水と気候を生かしたコシヒカリやひとめぼれが栽培されています。盆地の北に飯豊山地、東に奥羽山脈があるため、やませの影響を受けにくく、高い収穫量を誇ります。周辺の扇状地では、野菜や果樹（リンゴ、モモ、ナシ、メロン、ブルーベリー、ブドウ）も栽培され、ブドウはワインにも加工されています。

第二次産業

猪苗代湖から会津盆地まで日橋川の落差を利用した水力発電が古くから行われ、磐越西線沿線には、金属工業、セメント、アルミ製品の企業が進出しています。近年では、精密機械や半導体産業も誘致されています。

第三次産業

幕末の史跡が多く残る会津若松市や周辺には、観光産業が盛んです。温泉も多く、盆地全体が国立公園や県立自然公園に囲まれています。

名産品・特産品

コシヒカリ、朝鮮人参、ソバ、日本酒、高田梅、不知身柿、喜多方ラーメン、新鶴ワイン、会津漆器、会津本郷焼、会津桐製品、赤べこ、会津絵ろうそく、起き上がり小法師などがあります。

観光地

温泉

東山温泉、神指温泉、会津本郷温泉、高田温泉、新鶴温泉、津尻温泉、喜多方温泉、熱塩温泉、日中温泉などがあります。

史跡・名所

若松城、旧滝沢本陣、飯盛山、白虎隊記念館、さざえ堂、小田山、天寧寺（近藤勇の墓）、院内御廟、勝常寺、会津本郷焼、伊佐須美神社、法用寺、龍興寺、弘安寺（中田観音）、春日八郎記念館、恵隆寺（立木観音）、長床（新宮熊野神社）、願成寺（会津大仏）などがあります。

市町村

会津若松市、喜多方市、耶麻郡（北塩原村、磐梯町）、河沼郡（会津坂下町、湯川村）、大沼郡（会津美里町）があります。

会津盆地と東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、会津盆地でも震度5弱から震度6弱の揺れが3分以上続きました。土蔵の倒壊や建物の損壊、地盤災害による被害が発生しましたが、幸いにも揺れによる直接の死者は確認されませんでした。しかし、福島第一原子力発電所事故の影響で、燃料不足に見舞われたり、自主的な避難による人口流出、観光客の減少などの影響が出ています。

参考文献

会津大事典（国書刊行会）
塩川町史（喜多方市）
古代会津の歴史(講談社)

関連項目

奥会津
会津地方
会津弁
* カイギュウランドたかさと

外部リンク

会津盆地マップ

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