傅弘之

傅弘之（ふ こうし）は、東晋末期の軍人。字は仲度（ちゅうたく）。北地郡泥陽県（現在の陝西省耀県）の出身。

生涯

傅弘之は、傅歆（傅暢の孫）の子として生まれた。当初は本州主簿に任じられ、秀才にも挙げられたが出仕はしなかった。

403年、庾仄（ゆ ぜき）が桓玄（かんげん）の簒奪に反対して挙兵すると、弘之は江陵におり、庾仄の甥である庾彬（ゆひん）とともに、荊州刺史の桓石康（かんせきこう）暗殺を計画した。しかし、庾彬の従弟である庾宏（ゆこう）がこの計画を密告したため、桓石康は庾彬を捕らえて殺害し、弘之も投獄された。桓玄は、弘之が首謀者ではなく、兵も持っていなかったことから罪には問わなかった。

404年、劉裕（りゅうゆう）が桓玄に対して挙兵すると、弘之は劉裕配下の劉道規（りゅうどうき）の参軍となり、寧遠将軍、魏興郡太守を歴任した。410年、桓石綏（かんせきすい）が上洛県で荊州刺史を自称し、王天恩（おうてんおん）が梁州刺史を自称して西城を攻撃した際、弘之は父である梁州刺史の傅韶（ふしょう）の命を受け、桓石綏らを討伐し斬首した。その後、太尉行参軍に任じられた。

415年、劉裕が司馬休之（しばきゅうし）を討伐する際、弘之は後部賊曹を代行し、建威将軍、順陽郡太守を兼任した。417年、劉裕が北伐を行い後秦を討伐すると、弘之は扶風郡太守の沈田子（ちんでんし）ら七軍とともに武関から関中に入り、後秦の上洛郡太守を破って藍田に進軍、現地の豪族懐柔に努めた。龐斌之（ほうひんし）、戴養（たいよう）、康横（こうおう）らが部族を率いて劉裕軍に帰順した。劉裕が長安に入ると、弘之は豪族たちの前で卓越した馬術を披露し、彼らを驚かせた。

劉裕の息子である桂陽公劉義真（りゅうぎしん）の下で雍州治中従事史となり、西戎司馬、寧朔将軍に任じられた。略陽郡太守の徐師高（じょしこう）が反乱を起こすと、弘之はこれを討伐し鎮圧した。

418年、劉裕が劉義真を長安の留守に残して東帰すると、夏の太子赫連璝（かくれんかい）が3万の兵を率いて長安を攻撃した。弘之は5000の兵を率いて池陽で赫連璝を撃退したが、赫連璝が渭南を攻撃すると、寡婦人渡で再びこれを撃破した。劉義真が劉裕に帰還を命じられて長安を離れる際、多くの財宝を積んだ輜重を抱えて東に向かった。弘之は輜重を捨てるように忠告したが、劉義真は聞き入れなかった。赫連勃勃（かくれんぼつぼつ）が全軍を率いて追撃してきたため、青泥で追いつかれ決戦となった。弘之は奮戦したが衆寡敵せず捕らえられた。赫連勃勃は弘之に降伏を勧めたが、弘之は拒否した。そのため、厳寒の中、衣服を剥がれて裸にされ、罵声を浴びせられながら殺害された。享年42。

人物

傅弘之は、武勇に優れ、忠義に篤い人物として知られている。その死は多くの人々に惜しまれ、後世に語り継がれている。

伝記資料

『宋書』巻48 列伝第8
『南史』巻16 列伝第6

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