沈田子

沈田子（しん でんし）

沈田子（383年 - 418年）は、東晋末期の軍人。字は敬光。呉興郡武康県出身。

生涯

父は沈穆夫。404年、劉裕が桓玄を討つために挙兵すると、沈田子は劉裕に従い、京口占拠や建康平定に貢献。その功績により、参鎮軍軍事、営道県五等侯に封じられました。

409年、劉裕が南燕を攻撃した際、沈田子は別働隊を率いて先鋒を務め、臨朐攻略で大きな役割を果たしました。410年に盧循の乱が勃発すると、劉裕の命で孫処と共に海上から広州を襲撃。盧循の残党である徐道覆を劉藩と共に攻撃しました。

411年、盧循が広州に帰還し孫処を包囲すると、沈田子は広州へ急行し、盧循を撃破。その後も追撃を続け、盧循を各地で打ち破りました。広州での治安回復に尽力した後、建康へ帰還。太尉参軍、振武将軍、淮陵国内史に任じられ、都郷侯に封じられました。劉義符の下で参征虜軍事も務めました。412年の劉毅討伐、415年の司馬休之討伐にも従軍し、征虜将軍、参征虜軍事、振武将軍、扶風郡太守を歴任しました。

416年、劉裕の北伐に参加。417年には傅弘之と共に別働隊を率いて武関から進軍し、青泥に駐屯しました。後秦の姚泓は、劉裕との対戦において背後を突かれることを恐れ、沈田子を先に討とうと大軍を差し向けました。沈田子は少数兵力で陽動作戦を展開し、秦軍を奇襲して大勝。長安陥落後、劉裕から「咸陽の平定は卿の功績である」と称賛され、咸陽・始平二郡太守に任じられました。劉裕の帰還後、桂陽公劉義真が長安を任されると、沈田子は安西中兵参軍、龍驤将軍、始平郡太守として劉義真を補佐しました。夏の赫連勃勃が関中に侵攻すると、王鎮悪と共に北地へ出て防衛にあたることになりました。

しかし、沈田子は王鎮悪を信用しておらず、418年正月に一族の沈敬仁に王鎮悪を暗殺させました。その直後、沈田子自身も同月15日に長安の廩倉門外で長史の王修によって殺害されました。享年36歳。

子はおらず、弟の沈林子の次男である沈亮が後を継ぎました。

伝記資料

『宋書』巻100 列伝第60
『南史』巻57 列伝第47

もう一度検索