共和政ローマ監察官一覧

共和政ローマ監察官一覧

共和政ローマにおける監察官（ケンソル）は、市民の登録、道徳の維持、公共事業の監督など、多岐にわたる重要な役割を担っていました。本記事では、共和政初期から帝政初期にかけての監察官の活動を年次ごとにまとめ、その変遷とローマ社会への影響を詳細に解説します。

監察官以前のケンスス

紀元前579年～前536年 I～IV: ロームルスが定めた3つのトリブスから、ローマ市内を4つに区切った都市トリブスに行政単位を変更。
セルウィウス・トゥッリウス王: 行政区画の再編と市民登録を実施。

共和政初期の監察官

紀元前508年 V: 共和政初のケンススが実施され、プブリウス・ウァレリウス・プブリコラとティトゥス・ルクレティウス・トリキピティヌスが担当。
紀元前443年 XI: 初代ケンソルとして、ルキウス・パピリウス・ムギッラヌスとルキウス・センプロニウス・アトラティヌスが選出。この頃から、監察官の職務が確立。

紀元前4世紀の監察官

紀元前393年: ルキウス・パピリウス・クルソルとガイウス・ユリウス・ユッルスが選出されるも、ユッルスが任期中に死亡。補充ケンソルが選出されたが、ローマがガリア人に占領されたため、補充される事はなくなった
紀元前351年 XXII: ガイウス・マルキウス・ルティルスが初のプレブス（平民）出身のケンソルに。

紀元前3世紀の監察官

紀元前312年 XXVI: アッピウス・クラウディウス・カエクスが、無産市民をトリブスに登録。アッピア街道やアッピア水道の建設も手がけました。
紀元前280年 XXXII: グナエウス・ドミティウス・カルウィヌス・マクシムスは、ルーストルムの儀式を初めて行ったプレブス出身のケンソルとなりました。
紀元前265年 XXXV: ガイウス・マルキウス・ルティルス・ケンソリヌスは、ケンソルの再選を禁止する法を制定。

紀元前2世紀の監察官

紀元前209年 XLIV: プブリウス・センプロニウス・トゥディタヌスとマルクス・コルネリウス・ケテグスは、カンパニアの土地を分配。元老院の再編成も行いました。
紀元前184年 XLIX: ルキウス・ウァレリウス・フラックスとマルクス・ポルキウス・カト（大カト）が就任。大カトは、その厳格な道徳観で知られています。
紀元前179年 L: マルクス・アエミリウス・レピドゥスは、バシリカ・アエミリア建設など多くのインフラ整備を手がけました。
紀元前169年 LII: ガイウス・クラウディウス・プルケルとティベリウス・センプロニウス・グラックス（大グラックス）が就任。バシリカ・センプロニア建設を行いました。

紀元前1世紀の監察官

紀元前97年 LXV: ルキウス・ウァレリウス・フラックスとマルクス・アントニウス・オラトルが就任。リキニウス法を撤廃しようとした護民官を元老院から除名しました。
紀元前70年 LXVII: グナエウス・コルネリウス・レントゥルス・クロディアヌスとルキウス・ゲッリウス・プブリコラが就任。64名を元老院から除名しました。
紀元前50年: アッピウス・クラウディウス・プルケルとルキウス・カルプルニウス・ピソ・カエソニヌスが就任。カエサル派とポンペイウス派の対立が激化する中、元老院議員の選定に影響を与えました。

帝政初期の監察官

紀元前28年 LXVIII: オクタウィアヌス（後のアウグストゥス）とマルクス・ウィプサニウス・アグリッパが就任。元老院の定員整理やパトリキの増加など、政治体制の再編を進めました。
紀元前22年: ルキウス・ムナティウス・プランクスとルキウス・アエミリウス・レピドゥス・パウッルスが、民間人による最後のケンソルとなります。

監察官制度の終焉

アウグストゥス帝以降、監察官の職務は皇帝が代行するようになり、制度としての監察官は徐々に衰退していきました。

参考文献

ティトゥス・リウィウス『ローマ建国以来の歴史』京都大学学術出版会
T. R. S. Broughton (1951, 1986). The Magistrates of the Roman Republic Vol.1. American Philological Association
T. R. S. Broughton (1952). The Magistrates of the Roman Republic Vol.2. American Philological Association
砂田徹『共和政ローマの内乱とイタリア統合 退役兵植民への地方都市の対応』北海道大学出版会、2018年

関連項目

ケンソル
国勢調査

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