北海道旅客鉄道の駅ナンバリング・区間カラー

JR北海道の駅ナンバリングと区間カラー

北海道旅客鉄道（JR北海道）は、2007年10月1日から駅番号表示と運転系統ごとの色（ラインカラー）を導入しました。これは、外国人旅行客の増加に対応し、駅の識別を容易にするための施策です。本稿では、2016年3月26日に開業した道南いさりび鉄道の駅番号表示についても解説します。

導入の背景と目的

2000年代後半、北海道では外国人旅行客が急増していました。特に、2008年に洞爺湖サミットが開催されることを踏まえ、駅の識別を容易にする必要性が高まりました。駅ナンバリングは、この問題に対処し、外国人旅行客が安心して旅行できるようにするために導入されました。導入当初から、駅名板、路線図、運賃表などのサインシステムで活用され、列車内の案内表示にも使用されています。

JR旅客鉄道6社の中では、四国旅客鉄道（JR四国）に次いで2番目の導入となり、北海道内の鉄道事業者としては、札幌市営地下鉄に続く導入例です。

駅ナンバリングの体系

駅ナンバリングは、以下の要素で構成されています。

ルート: 札幌駅を中心とした特急列車の運行系統などを基準に設定。
区間記号: ルートを示すアルファベット（基本的には始終着駅名のローマ字表記の頭文字を使用）。
区間カラー: 各ルートに設定された色。
駅番号: 札幌駅から各ルートに沿って付番。

ルートの選定

駅ナンバリングは、全線ではなく、札幌圏線区、北海道内完結の定期特急列車が運転される線区、外国人旅行客の利用が多い線区に導入されています。ルートが分岐・合流する駅や重複する区間では、掲載順に優先度が設定されています。例えば、苗穂駅では複数のルートが重複しますが、優先度の高いHルート（H02）の駅番号とカラーが採用されます。

区間記号の決定

区間記号は、基本的にルートの始終着駅名のローマ字表記の頭文字を使用します。他線区と重複する場合は、次文字や路線愛称名などを利用して区別します。

区間カラーの設定

各ルートには固有の区間カラーが設定されており、一部の支線区は主要ルートと共通のカラーを使用します。これにより、路線の識別が容易になります。

駅番号の付与

駅番号は、札幌駅を「01」として、各ルートに沿って札幌駅から数えて何駅目の旅客駅（臨時駅含む）かを示します。札幌駅への最短駅数ではなく、優先されるルートの付番順となります。新設駅については、既存駅は改番せず、新設駅を枝番として付与します。また、旅客扱いを終了した駅の番号は欠番となり、再利用はされません。

例えば、富良野線（Fルート）の学田駅は、札幌駅から最短距離では31駅目ですが、旭川駅を起点として付番されているため「F44」となります。同様に、長万部駅は、Hルートで47駅目、Sルートでは33駅目ですが、Hルートが優先されるため「H47」となります。

実施されている路線・区間

駅ナンバリングが導入されている路線・区間は、以下の通りです。

札幌駅: どの路線にも属さず、区間カラーは黒。
室蘭・函館方面: 青色。特急「北斗」「すずらん」系統。
旭川・網走方面: 橙色。特急「カムイ」「ライラック」「オホーツク」「大雪」系統。
稚内方面: 茶色。特急「宗谷」「サロベツ」系統。
帯広・釧路方面: 黄緑色。特急「おおぞら」「とかち」系統。
新千歳空港方面: スカイブルー。快速・特別快速「エアポート」系統。区間記号は「AP」。
小樽方面: 赤色。通称「山線」。
あいの里教育大方面: 緑色。札沼線（学園都市線）。
富良野方面: 桃色。根室本線滝川 - 富良野間。
美瑛方面: 紫色。富良野線。
知床斜里方面: 濃桃色。釧網本線と根室本線（花咲線）の一部。

廃止された路線・区間

過去には駅ナンバリングが導入されていたが、廃止された路線・区間もあります。

新夕張 - 夕張: 黄緑色。石勝線夕張支線。
富良野 - 新得: 桃色。根室本線富良野 - 新得間。

未実施の路線・区間

以下の路線・区間では、駅ナンバリングは実施されていません。

北海道新幹線: 新函館北斗駅は在来線駅のみ付番。
海峡線: 北海道新幹線開業後は定期旅客列車の運行なし。
留萌本線: 深川駅を除く全線。
日高本線: 苫小牧駅を除く全線。
室蘭本線: 沼ノ端駅・追分駅・岩見沢駅を除く、沼ノ端駅 - 岩見沢駅間。
根室本線（花咲線）: 東釧路駅を除く同駅 - 根室駅間。

導入後に廃止・経営移管された未実施路線・区間

江差線: 五稜郭駅を除く全線。
留萌本線: 石狩沼田駅 - 増毛駅間。
札沼線（学園都市線）: 北海道医療大学駅を除く同駅 - 新十津川駅間。
* 日高本線: 鵡川駅 - 様似駅間。

道南いさりび鉄道の駅ナンバリング

道南いさりび鉄道は、江差線の一部を移管した際に、独自の駅ナンバリングを導入しました。区間記号は「sh」で、木古内駅（sh01）から順に付番されています。ただし、五稜郭駅はJR北海道のHルートの付番（H74）が採用されています。

まとめ

JR北海道の駅ナンバリングと区間カラーは、外国人旅行客の利便性向上に大きく貢献しています。各路線の特徴を色と記号で識別できるようにすることで、よりスムーズな移動を支援しています。道南いさりび鉄道の駅ナンバリングも、同様の目的で導入されています。

もう一度検索