国泰寺 (北海道厚岸町)

国泰寺（こくたいじ）

国泰寺は、北海道厚岸郡厚岸町にある臨済宗南禅寺派の寺院です。景運山という山号を持ち、バラサン岬に位置しています。この寺は、国の史跡としても指定されています。

歴史

国泰寺は文化元年（1804年）に建立されました。江戸幕府が蝦夷地政策の一環として、東蝦夷地の警備などの目的で整備した蝦夷三官寺の一つです。他の二寺は、胆振国有珠郡の善光寺、日高国様似郡の等澍院です。

当時、中部千島以北にはロシア帝国が進出しており、現地のアイヌに対してキリスト教を布教していました。この状況を憂慮した江戸幕府は、将軍徳川家斉の命により国泰寺を建立しました。その目的は、アイヌへの仏教普及と、蝦夷地で亡くなった和人の葬儀を行うことでした。

国泰寺は鎌倉の金地院の末寺であり、記録によるとその活動範囲はトカチ、クスリ、アッケシ、ネモロ、クナシリ、エトロフの6箇所に及んでいたとされます。これらはそれぞれ、現在の十勝、釧路、厚岸、根室、国後島、択捉島と考えられています。初代住職には、相模国津久井郡青山村光明寺の文翁が任命されました。

寺には、山門や東面する本堂のほか、天保6年（1835年）の観音石仏、天保13年（1842年）建立の仏舎利塔、歴代住職の墓所があります。また、東方の丘の上には竜王殿、馬頭観音堂、最上徳内建立の神明社跡（のちの厚岸神社）などが存在します。

1973年（昭和48年）10月29日、国泰寺は国の史跡に指定されました。現在では、サクラの名所としても知られています。

日鑑記

『日鑑記』は、国泰寺の歴代住職が綴った日誌であり、東蝦夷地の歴史を明らかにするための重要な史料です。『蝦夷三官寺国泰寺関係資料』として国の重要文化財にも指定されています。1804年から1863年に書かれた36冊が現存しており、アイヌの暮らしぶり、地震・津波の発生、異国船の来航などが記されています。

アイヌ民族弔魂碑

弔魂碑は国泰寺の入り口付近に建てられています。

文化財

史跡（国指定）
国泰寺跡
重要文化財
蝦夷三官寺国泰寺関係資料
文書・記録類 292点
経典類 525点
器物類 12点
厚岸町指定有形文化財
国泰寺什器書画古文書
地獄極楽図 15幅（拝観可）
厚岸町指定天然記念物
老桜樹

1830年（天保元年）、国泰寺の本堂と庫裡を修復する際に、当時のアッケシ場所請負人である山田文右衛門が奥州石巻（現在の宮城県石巻市）からオオヤマザクラを移植したと伝えられる古木です。高さ約10m、幹周約3m。樹齢180年を超え、春には淡紅色に咲いた老桜樹を境内で観賞できます。

交通アクセス

* くしろバス国泰寺線 国泰寺前バス停下車

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