安威資脩

安威資脩について

安威資脩（あい すけなが、？－応安4年/建徳2年8月1日（1371年9月10日））は、南北朝時代における重要な歌人でありながら、室町幕府の幕臣としての役割も果たした人物です。彼は安威有脩の子であり、子供には安威親脩がいます。資脩は法号として性遵、後に性威と名乗ったことでも知られています。

安威氏の出自は摂津国島下郡安威荘に位置し、そもそもこの家系は御家人出身です。本来の姓は安倍氏ですが、資脩の父である有脩の代に母方の姓である神氏に改姓されたと考えられています（『神氏系図』）。

父の有脩は鎌倉幕府で安堵奉行を務めており、資脩も嘉暦3年（1328年）以降はこの幕府で奉行人として活動していました。しかし、鎌倉幕府の滅亡に伴い、資脩は建武政権に仕官し、雑訴決断所に加わります。北畠顕家が義良親王を奉じて奥州に進出した際には、陸奥将軍府の一員として関与し、国務を担っていました。

暦応元年（1338年）に顕家が戦死して以降、彼は出家し、室町幕府において法号性遵をもって仕官を続けることになります。特に重要な役割の一つは、足利尊氏が天龍寺を建立する際の造営奉行です。しかし、足利直義が政務を執っていた期間はあまり重用されず、その後、観応の擾乱を経て足利義詮の下で右筆や奉行の職に就きました。

延文元年（1356年）、資脩は政所の執事代に就任し、侍所の開闔にも任じられました。彼は義詮の信任を受け、またその孫の詮有も義詮から偏諱を受けるなどして、その地位を強固にしました。義詮の死後、資脩は将軍足利義満と管領細川頼之の体制下で、延暦寺の管理を担う山門奉行に任じられ、評定衆の一員としても活動しました。

応安元年（1368年）、延暦寺と南禅寺の間で対立が生じた際、資脩は延暦寺側に立った強硬な姿勢を示し、それに反発した僧兵たちによる強訴も引き起こされました。この後、応安4年（1371年）の「五山十刹以下住持事」成立の際には、その奉行責任を果たし、五山十刹制度の確立に大きく寄与しましたが、この年の8月1日に他界しました（『師守記』）。

資脩の死後、彼の孫である詮有が奉行人として活躍しましたが、永徳元年（1381年）には突如として姿を消し、安威氏は徐々に没落していきます。とはいえ、その後も室町幕府の奉公衆や細川氏傘下の摂津国の国衆の中には安威氏の名が残っており、資脩の子孫が奉公衆として家名を守り続けていたことがうかがえます。

また、資脩は歌人としての側面でも知られています。彼は勅撰和歌集『新千載和歌集』において「性遵法師」の名で一首、続いて『新拾遺和歌集』や『新後拾遺和歌集』にもそれぞれ一首ずつ詠んでいます。さらに、足利義詮が1367年に開催した新玉津島社歌合では、二条良基や佐々木道誉らとともにその名が挙げられています。

特に連歌の才能があり、詩のサークルには頻繁に参加し、佐々木道誉らとも詩を交わしました（『賢俊僧正日記』文和4年5月24日条）。『菟玖波集』に収められた資脩の句も28句に達し、その中で最古の作品は元応2年（1320年）に鎌倉で詠まれたものとされています。このことから、森幸夫は資脩がこの頃には30歳前後であったと推定し、彼が亡くなった1371年時点では80歳を越えていた可能性が高いとしています。

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