小林加奈枝

小林加奈枝：日本の映画史を彩った大部屋女優の生涯

小林加奈枝（こばやし かなえ、1907年3月7日 - 没年不詳）は、日本の映画史において重要な役割を果たした女優です。長年にわたり大部屋女優として活躍し、数多くの作品に出演することで日本の映画界に貢献しました。彼女の生涯は、日本の映画製作の変化と発展を反映する興味深いものです。

石川県金沢市で小林叶江として生まれた彼女は、1916年に京都で叔父である映画監督、小林弥六のもとに移り住みます。そこで、幼い頃から尾上松之助の映画に出演するなど、子役としてキャリアをスタートさせました。その後、大丸百貨店に就職するも、女優・酒井米子との出会いをきっかけに、1924年11月、日活大将軍撮影所に入社。大部屋女優としての人生が始まりました。

当時、時代劇部の大部屋に所属していたのは、彼女と大谷良子だけという状況でした。それでも彼女は50年以上にわたり、大部屋女優として第一線で活躍し続けました。華やかなスター女優とは異なる、影ながら映画製作に不可欠な存在として、献身的に仕事に取り組み続けたのです。

1932年には、伊東直次郎（後の大映京都撮影所庶務課長、建築設計）と結婚。日活がその後大映に合併しても、彼女は所属を続けました。1954年には芸名を小林叶江から小林加奈枝に改名。1971年12月の大映倒産後は、映像京都に所属しました。

彼女の出演作品は多岐に渡り、時代劇から現代劇まで幅広いジャンルの映画に出演しています。代表的な作品には、『三河武士』（1924年）、『修羅八荒 第一篇』（1926年）、『鳴門秘帖 第一篇』（1926年）、『悲恋狂刃』（1927年）、『鳥人』（1940年）、『無法松の一生』（1943年）、『王将』（1948年）、『鉄の爪』（1951年）、『愛妻物語』（1951年）、『源氏物語』（1951年）、『偽れる盛装』（1951年）、『怪猫有馬御殿』（1953年）、『祇園囃子』（1953年）、『噂の女』（1954年）、『山椒大夫』（1954年）、『大阪物語』（1957年）、『怪猫夜泣き沼』（1957年）、『狙われた土曜日』（1957年）、『南蛮寺の佝僂男』（1957年）、『赤胴鈴之助 三つ目の鳥人』（1958年）、『日蓮と蒙古大襲来』（1958年）、『炎上』（1958年）、『かげろう笠』（1959年）、『かげろう絵図』（1959年）、『千代田城炎上』（1959年）、『怪談累ヶ淵』（1960年）、『大江山酒天童子』（1960年）、『大菩薩峠 完結篇』（1961年）、『怪談夜泣き灯篭』（1962年）、『女系家族』（1963年）、『鼠小僧次郎吉』（1965年）、『座頭市地獄旅』（1965年）、『酔いどれ波止場』（1966年）、『大殺陣 雄呂血』（1966年）、『座頭市海を渡る』（1966年）、『座頭市血煙り街道』（1967年）、『牡丹灯篭』（1968年）、『人斬り』（1969年）、『眠狂四郎悪女狩り』（1969年）、『眠狂四郎卍斬り』（1969年）、『新座頭市・破れ!唐人剣』（1971年）、『秘録長崎おんな牢』（1971年）、『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』（1972年）、『戒厳令』（1973年）、『本陣殺人事件』（1975年）、『愛のコリーダ』（1976年）、『金閣寺』（1976年）、『愛の亡霊』（1978年）、『蔵の中』（1981年）などがあります。

テレビドラマにも数多く出演し、『火曜日の女』『横溝正史シリーズ』『銭形平次』『木枯し紋次郎』『座頭市物語』『水戸黄門』『必殺仕掛人』『怪談妖蝶の棲む館』など、幅広い作品で活躍しました。

小林加奈枝は、華々しいスターの道を歩むのではなく、大部屋女優として着実にキャリアを積み重ねました。彼女が残した作品の数々は、日本の映画史において、重要な一部を担っていると言えるでしょう。彼女の献身的な演技と長く続いた女優人生は、後世に大きな影響を与え続けています。 彼女の人生と業績は、日本の映画界における大部屋女優の重要性を改めて認識させてくれるものです。

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