急戦:将棋における積極的な攻め
将棋において、
急戦とは、序盤から積極的に攻めを仕掛け、相手陣に攻め入る戦術です。対照的に、互いに防御を固めてからじっくりと戦う
持久戦もあります。ただし、急戦と持久戦の明確な境界線は存在せず、状況に応じて柔軟に使い分けられます。
急戦のメリットとデメリット
急戦の最大のメリットは、
相手の防御が固まる前に攻め込める点にあります。早期の攻勢によって、相手の戦術の芽を摘み、主導権を握ることが可能です。しかし、攻めに重点を置くため、
自分の防御が手薄になるというデメリットも抱えています。そのため、短手数で勝負が決着することが多く、一発逆転を狙うハイリスク・ハイリターンの戦術と言えるでしょう。
急戦における代表的な戦法
急戦は様々な戦法に適用可能です。以下に、代表的な急戦戦法をいくつか挙げ、その特徴を説明します。
居飛車舟囲い急戦: 山田定跡などに代表される、居飛車穴熊を崩すための急戦戦法。早い段階で攻め込み、相手の陣形を崩してから優勢を築きます。
藤井システム: 藤井聡太棋聖が好んで用いる戦法で、独特の陣形から繰り出される精密な攻めが特徴です。相手が想定外の展開に戸惑ううちに、優勢を築きます。
左金急戦: 左金を左側へ素早く繰り出すことで、相手の防御を崩し、速攻を仕掛ける戦法。攻撃的な戦法を好む棋士に好まれます。
玉頭銀: 玉の頭を銀で直接狙う急戦戦法。相手の対応を遅らせることで、優位に戦いを進めます。
振り飛車戦法は、急戦と相性が良い戦法です。
棒銀: 古典的な急戦戦法。シンプルながらも強力な攻めを展開できます。
早繰り銀: 銀を素早く繰り出して攻め込む戦法で、相手の予想をはるかに超えるスピードで攻め込みます。
その他の戦法
角換わり▲4五桂: 角換わりの中でも、急戦的な展開になることが多い戦法。桂馬を4五に繰り出すことで、相手の陣形を崩し、攻め込みます。
急戦矢倉: 矢倉
囲いをベースとした急戦戦法。
右四間飛車や阿久津流急戦矢倉などが有名です。
横歩取り: 横歩を取りに行くことで、相手の陣形を崩し、攻め込みます。8五飛や4五角などの変化があります。
早石田:
石田流をベースとした急戦型で、積極的な攻めが特徴です。
相掛かり: 塚田スペシャルなど、多彩な急戦戦法が存在します。
英春流かまいたち戦法: 独特の攻め筋で知られる急戦戦法。19手定跡などの精密な手順が特徴です。
ゴキゲン中飛車: 中飛車の中でも、特に急戦的な展開になりやすい戦法。対▲5八金右超急戦や超速3七銀などが有名です。
急戦で用いられる囲い
急戦では、がっちりとした防御よりも、攻めを重視することが多いため、一般的な囲いとは異なる、比較的簡素な囲いが用いられることが多いです。完全に「囲い」と呼べるかどうか微妙な物も多く存在します。以下に、急戦で用いられる囲いの例を挙げます。
elmo囲い
イチゴ囲い
矢倉[囲い]
舟囲い(菱囲い、箱入り娘へ発展)
カニ囲い
中原囲い
中住まい
壁囲い
金無双
これらの
囲いは、相手の攻めに耐えつつ、自陣の攻めを支える役割を果たします。
囲いの堅さよりも、攻めのスピードと精度が重視されます。
まとめ
急戦は、短手数で勝負を決める、攻め重視の戦術です。メリットとデメリットを理解し、適切な戦法を選択することで、
将棋の勝率を高めることができます。様々な戦法を学び、自分のスタイルに合った急戦戦術を磨いていきましょう。