愛宕山 (南魚沼市)

愛宕山

概要

新潟県南魚沼市に穏やかな姿を見せる愛宕山（あたごやま）は、標高336.3メートルを測る身近な里山です。この山は、歴史的に重要な役割を果たした木六城（きろくじょう）の城跡として知られています。

歴史

木六城は、室町時代中頃、具体的な時期としては15世紀中頃に築かれたと考えられています。この城は、当時の関東管領であった上杉氏の代官として越後国のこの地、上田荘（現在の南魚沼市塩沢周辺）に派遣されてきた尻高（しりたか）氏の居城でした。尻高氏は、元々は上野国尻高（現在の群馬県吾妻郡高山村）を拠点としていた有力な土豪でした。

愛宕山の山頂には、木六城の本丸が置かれていたとされ、その下からは防御のための帯曲輪（おびぐるわ）と呼ばれる遺構が確認されています。また、山頂から見て北西側には「乱穴（らんな）」と呼ばれる横穴が存在しています。さらに、山の北東側の山腹には、かつて敵の襲来などを知らせるために狼煙（のろし）を上げていた場所があったという伝承も残されています。

尻高氏が普段生活していた平時の居館は、愛宕山の麓に近い、かつての旧大木六小学校の敷地にあたる「殿屋敷」と呼ばれた場所にありました。ここから、尻高氏は現在の塩沢町付近一帯を含む上田荘全域を支配していたとされています。

歴史をたどると、長禄3年（1459年）には、当時の木六城主であった尻高新三郎（しりたかしんざぶろう）が、関東地方への出陣中に羽継原（現在の群馬県館林市）の戦いで命を落とすという出来事がありました。父の死から数年後の寛正4年（1463年）、尻高氏の一族である尻高亀鬼丸（しりたかかめきまる）と木六城主を引き継いだ尻高平実綱（しりたかへいさねつな）は、亡き新三郎の冥福を祈るため、長慶庵（ちょうけいあん）という寺院を建立しました。この長慶庵が、現在の龍泉院（りゅうせんいん）の前身となっています。

登山

愛宕山は里山であるため、手軽に登山を楽しむことができます。麓にある駐車場（吉山新田）から山頂までの所要時間は、およそ30分程度です。

周辺環境

愛宕山の周囲には、豊かな自然と歴史的な史跡が点在しています。近隣には金城山（きんじょうさん）や巻機山（まきはたやま）といった名峰があり、魚沼連峰県立自然公園の一部も含まれます。また、古峰山（ふるみねやま）や城山（しろやま）といった山々も見られます。文化的な見どころとしては、曹洞宗の古刹である雲洞庵（うんとうあん）や槻岡寺（つきおかでら）などがあります。清水峠（しみずとうげ）や細越峠（ほそごえとうげ）といった歴史的な峠も近くに位置します。

山から流れ出る川としては、登川（のぼりがわ）や串川（くしかわ）があり、地域の水源となっています。

交通アクセス

愛宕山へのアクセスは、公共交通機関と自動車のいずれでも可能です。

鉄道・バス
上越新幹線越後湯沢駅で下車した後、上越線または北越急行ほくほく線に乗り換えて六日町駅へ向かいます。六日町駅の駅前広場付近にあるバス停から、南越後観光バスの「湯沢＝塩沢＝六日町線」（大木六・舞子経由）に乗車し、約15分で「吉山」バス停留所に到着します。バス停からは徒歩で約15分ほどで愛宕山の麓にたどり着けます。

自動車
関越自動車道塩沢石打インターチェンジを利用するのが便利です。インターチェンジを下りて、新潟県道28号塩沢大和線を塩沢方面へ進み、約10分で愛宕山周辺に到着します。

関連情報

愛宕山に関連する歴史的な地名として、かつての大木六村（おおきろくむら）があり、木六城の名の由来とも関連が考えられます。また、尻高氏ゆかりの寺院である龍泉院も近くに位置しており、山と合わせて訪れることで、この地域の歴史に触れることができます。

南魚沼市の塩沢地域にある愛宕山と城山については、「南魚沼 塩沢の里山 【愛宕山・城山】静かな紅葉探訪」といった情報源も参照できます。

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