慕容稚

慕容稚（ぼよう ち）

慕容稚は、五胡十六国時代の前燕に生きた人物です。鮮卑慕容部の大人、慕容廆の子として昌黎郡棘城県に生まれました。生没年は明らかになっていません。

生涯

咸和8年（333年）10月、前燕では内乱が発生します。征虜将軍の慕容仁と広武将軍の慕容昭が、慕容稚の兄にあたる慕容皝に対して反旗を翻したのです。慕容昭は処刑されましたが、慕容仁は平郭で自立し、勢力を拡大しました。

慕容皝は、この反乱を鎮圧するため、広武将軍の高詡、建武将軍の慕容幼、慕容稚、広威将軍の慕容軍、寧遠将軍の慕容汗、司馬の冬寿に5千の兵を与え、慕容仁討伐を命じました。しかし、慕容稚率いる討伐軍は汶城の北で慕容仁軍と激突し、大敗を喫してしまいます。この戦いで、慕容稚は慕容幼、慕容軍と共に捕虜となってしまいました。

咸康2年（336年）1月、ついに慕容仁は慕容皝によって滅ぼされます。慕容稚は、慕容幼、冬寿、郭充、翟楷、龐鑒らと共に東方へ逃亡を試みます。しかし、途中で慕容幼と共に引き返し、慕容皝に降伏しました。

降伏後の慕容稚の事績は、残念ながら史書には記録されていません。彼の人生は、この降伏をもって歴史の表舞台から姿を消したと考えられます。

家族構成

父：慕容廆（鮮卑慕容部の大人）

兄弟：
慕容翰（庶長子）
慕容皝（嫡長子、三男）
慕容仁
慕容昭
慕容幼
慕容軍
慕容汗
慕容評
慕容彪

姉妹：
慕容氏（代王拓跋什翼犍にとついだ）

参考文献

『晋書』巻109
『資治通鑑』巻95
『十六国春秋』巻24、巻30

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