慕容昭

慕容昭（ぼよう しょう）

慕容昭は、五胡十六国時代の前燕に生きた人物で、鮮卑慕容部の大人であった慕容廆（ぼよう かい）の子として生まれました。生年ははっきりしていません。

生涯

慕容昭は父である慕容廆に従い、広武将軍という地位に任じられていました。咸和8年（333年）5月、慕容廆が亡くなり、その子の慕容皝（ぼよう こう）が後を継ぎます。しかし、慕容皝は慕容昭や、庶兄である建威将軍の慕容翰（ぼよう かん）、同母弟である征虜将軍の慕容仁（ぼよう じん）の存在を疎ましく思っていました。

この状況を察した慕容翰は、鮮卑段部の大人である段遼（だん りょう）の元へ出奔します。同年10月、慕容仁は慕容廆の喪に服すために平郭からやってきました。そこで慕容仁は慕容昭に会い、慕容皝から危害を受けるのではないかという不安を打ち明けます。

慕容昭はこれに対し、「我らは皆、正嫡であり、国を分けてもらう権利がある。兄上（慕容仁）は普段から人々の信頼を得ており、私は内部にいて疑われていない。その隙を突くのは難しくない。兄上が兵を挙げ、私が内部から呼応すれば、事は成就するだろう。その暁には遼東をいただければ幸いだ。男子たるもの、事を起こしたならば、勝つか死ぬかしかない。決して建威（慕容翰）のように、異国で人生を送るような真似はできない」と答え、慕容仁を唆しました。

この言葉を受け、慕容仁は慕容皝への反乱を決意し、平郭へ帰って兵を挙げ、慕容皝の元へ向かいます。しかし、ある者が慕容仁と慕容昭の密謀を慕容皝に密告しました。慕容皝は当初これを信じず、使者を慕容仁の元へ送りますが、黄水に至った慕容仁は、陰謀が露見したと判断し、使者を殺害して平郭へ帰還しました。これにより、慕容皝は慕容昭に自害を命じました。

人物・逸話

慕容昭は才芸に優れており、父の慕容廆から非常に可愛がられていました。このことを慕容皝は常々妬ましく思っていたと言われています。

家系

父：慕容廆
母：段夫人
兄弟：
慕容翰 - 庶長子
慕容皝 - 嫡長子（三男）
慕容仁
慕容幼
慕容稚
慕容軍
慕容汗
慕容評
慕容彪
姉妹：
慕容氏 - 代王拓跋什翼犍（たくばつ じゅうよくけん）にとついだ

参考文献

『晋書』巻109
『資治通鑑』巻95
* 『十六国春秋』巻24、巻30

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