慶尚北道 (日本統治時代)

慶尚北道（キョンサンプクト）とは

慶尚北道は、日本統治時代の朝鮮半島に存在した行政区画の一つです。現在の韓国における慶尚北道と大邱広域市を合わせた地域に相当します。この地域は、朝鮮半島南東部の慶尚道地方の北側に位置し、東は日本海に面しています。北には江原道、西には忠清北道と全羅北道、南には慶尚南道と隣接していました。道庁所在地は大邱に置かれていました。

人口構成

昭和11年の現住戸口調査によると、慶尚北道の総人口は2,454,275人でした。内訳は以下の通りです。

内地人：49,887人
朝鮮人：2,402,970人
その他：1,418人

行政区分

昭和20年（1945年）当時、慶尚北道は以下の行政区分に分けられていました。

府
大邱府

郡
達城郡: 公山面、東村面、嘉昌面など13面
軍威郡: 召保面、軍威面、孝令面など8面
義城郡: 義城邑、丹村面、点谷面など17面
安東郡: 安東邑、臥龍面、北後面など16面
青松郡: 青松面、府東面、府南面など8面
英陽郡: 英陽面、立巌面、青杞面など6面
盈徳郡: 盈徳面、江口面、南亭面など9面
迎日郡: 浦項邑、九龍浦邑、達田面など15面
慶州郡: 慶州邑、甘浦邑、内東面など11面
永川郡: 永川邑、清通面、新寧面など11面
慶山郡: 慶山面、孤山面、安心面など11面
清道郡: 大城面、華陽面、角南面など9面
高霊郡: 高霊面、徳谷面、雲水面など8面
星州郡: 星州面、船南面、龍岩面など10面
漆谷郡: 倭館面、枝川面、漆谷面など9面
金泉郡: 金泉邑、農所面、南面など16面
善山郡: 善山面、舞乙面、玉城面など7面
尚州郡: 尚州邑、沙伐面、中東面など17面
聞慶郡: 聞慶面、麻城面、加恩面など9面
醴泉郡: 醴泉邑、龍門面、上里面など11面
栄州郡: 栄州邑、伊山面、平恩面など10面
奉化郡: 乃城面、物野面、鳳城面など7面
鬱陵島: 南面、西面、北面

行政・司法機関

慶尚北道には、行政、司法、警察などの様々な機関が設置されていました。

法院（裁判所）: 大邱覆審法院、大邱地方法院、及びその各支庁（金泉、尚州、安東、慶州、盈徳）
刑務所: 大邱刑務所、金泉少年刑務所
警察: 慶尚北道警察部、各警察署（大邱、軍威、義城、安東など23署）
憲兵部隊: 大邱憲兵隊、倭館憲兵分隊など
税務署: 大邱税務署
専売局: 大邱地方専売局

気象観測所

大邱測候所
鬱陵島測候所

高等教育機関

慶尚北道には以下の高等教育機関がありました。

尚州公立農蠶学校（現在の慶北大学校農学部）
大邱師範学校（現在の慶北大学校師範学部）
大邱医学専門学校（現在の慶北大学校医学部）
大邱農業専門学校（現在の慶北大学校農学部）

日本軍駐屯地

歩兵第80連隊（大邱府）

鉄道

総督府鉄道: 京釜線、京慶線、東海線、慶北線、大邱線

道路

一等道路: 京城釜山線、大邱安東線など8路線
二等道路: 忠州盈徳線、咸昌安東線など

港湾

地方港: 江口港、浦項港など6港

鉱山

得水鉱山（鉛）、七宝鉱山（銀・銅・砒）、金井金山、聞慶無煙炭礦業所、鳳鳴黒鉛礦業所

神社

大邱神社、金泉神社、浦項神社など

主要企業（資本金50万円以上）

農林水産業: 甘浦鰛産業、三栄組水産など
製造業: 朝鮮生糸
運輸業: 慶北貨物自動車
卸売小売業: 慶北産業、慶北商工
金融業: 慶尚合同銀行、慶北無尽
不動産業: 朝鮮土地興業、鮮満産業

マスメディア

ラジオ放送局: 朝鮮放送協会大邱放送局
日本語新聞: 朝鮮民報、大邱日報

出身有名人

朴敬元（朝鮮人初の女性パイロット）
朴正煕（軍人・後の大韓民国大統領）
盧泰愚（軍人・後の大韓民国大統領）
陳昌鉉（バイオリン製作者）
金宇中（韓国の資本家）
韓徳銖（元朝鮮総連議長）
張赫宙（小説家）

参考文献

戦前期官僚制研究会編『戦前期日本官僚制の制度・組織・人事』（東京大学出版会、1981年）

関連項目

朝鮮八道 - 慶尚道
朝鮮総督府
* 大韓民国の地方行政区画

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