支雄

支雄（し ゆう）

支雄（生没年不詳）は、五胡十六国時代の後趙に仕えた武将。石勒十八騎の一人として知られています。月氏の出身であり、唐代には琅邪郡を本貫とする子孫がいたとされています。

生涯

305年頃、傭兵として活動していた石勒に合流し、群盗として各地を荒らし回りました。絹や宝玉を略奪する生活を送る中で、石勒の信頼を得ていきます。

309年、石勒配下で将帥に任じられ、その後、中堅将軍に昇進しました。312年2月、石勒が葛陂に駐屯していた際、江南に割拠する司馬睿（後の元帝）が討伐のため寿春に兵を集結させました。長雨と飢餓、疫病により石勒軍が疲弊する中、支雄は孔萇らと共に奇襲を提案し、石勒に採用されました。各々に300の歩兵を与えられ、分散して敵の城を夜襲し、敵将の首を討ち取るという大胆な作戦でした。石勒はこの策を「勇将の計略」と称賛し、鎧馬を与えました。

同年7月、石勒が枋頭で向冰に阻まれた際には、孔萇と共に筏で慎重に渡河し、向冰の砦門を攻略。鮮于豊に挑発させ、伏兵で向冰軍を破り、兵糧を確保しました。12月には、王浚配下の游綸・張豺が拠点を構える苑郷を夔安らと共に攻撃し、外壁を突破。張豺らの降伏を受け入れました。

315年3月、廩丘へ侵攻した際には西晋の兗州刺史劉演に敗れましたが、その後の反撃で潘良を討ち取りました。同年末、甯黒が石勒に反旗を翻すと、逯明と共に東武陽を陥落させ、住民1万人余りを襄国へ移住させました。

319年11月、石勒が趙王に即位すると、中塁将軍に任じられました。游撃将軍王陽と共に門臣祭酒にも任じられ、胡人の訴訟を委ねられました。338年1月、龍驤大将軍に任じられ、歩兵・騎兵7万を率いて段部の本拠地令支へ侵攻。薊城を攻略し、漁陽郡太守馬鮑、上谷相侯龕、代郡太守張牧、北平相陽裕らを降伏させ、40以上の城を攻略しました。さらに安次へ侵攻し、段部の豪族那楼奇を破りました。段遼は恐れて令支を放棄し、密雲山へ逃走しました。

その後の動向は不明ですが、『元和姓纂』によれば司空にまで昇進したとされています。

参考文献

『晋書』巻104、105、106「石勒載記上下、石季龍載記上」
『資治通鑑』「晋紀」巻87 - 巻96
* 『十六国春秋』巻11 - 巻16

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