日本とハンガリーの関係

日本とハンガリーの国際関係

日本とハンガリーは、経済や文化の面で伝統的に良好な関係を保っており、「V4+日本」の枠組みにおいても協力関係にあります。この記事では、両国間の歴史的交流から現代の協力関係までを詳細に解説します。

両国の比較

歴史

国交樹立前

日本を訪れた最初のハンガリー人は、1770年に長崎に滞在したイェルキ・アンドラーシュとされています。翌年には、モーリツ・ベニョヴスキーが土佐に寄港し、山内家に歓待された記録が残っています。彼はロシアの東方侵略について説いたとされ、その体験は後に自叙伝で紹介されました。

1849年には、ユダヤ系ハンガリー人の宣教師バーナード・ジャン・ベッテルハイムが来日し、1853年の黒船来航時にはマシュー・ペリーの通訳を務めました。

国交樹立後

両国間の国交は、1869年にオーストリア＝ハンガリー帝国と日本の間で締結された日墺洪修好通商航海条約から始まりました。この条約は日本が結んだ不平等条約の最後の相手国となりました。

1872年には、岩倉使節団がウィーンでハンガリー人外相アンドラーシ・ジュラと面会し、不平等条項の改正を求めましたが、受け入れられませんでした。一方で、ハンガリー人旅行者の日本国内移動の自由を求められています。

1873年のウィーン万国博覧会や1878年のパリ万国博覧会への日本の参加は、ハンガリーに日本ブームをもたらしました。19世紀末頃からツラニズムと呼ばれる思想が広まり、マジャール人と大和民族が同祖であるという説が唱えられましたが、学術的な裏付けはありません。

創設期の日本騎兵部隊は、馬をハンガリーから購入していました。1886年には、ユダヤ系ハンガリー人ヴァイオリニストのエドゥアルト・レメーニが来日し、明治天皇と昭憲皇太后の前で演奏を披露しました。2002年には、明仁天皇と美智子皇后がハンガリーを訪問した際に、この「レメーニによる御前演奏」について言及しています。

1890年代には、ホルティ・ミクローシュが海軍士官として来日しました。また、1902年には東洋史学者白鳥庫吉が、匈奴とフン族の関係を研究するためにハンガリーを訪れています。1906年には、民族学者バラートシ・バログ・ベネデクが『大日本』を著しました。

日露戦争中には、軍医ボゾーキ・デジェが観戦武官として来日し、日本と日本統治時代の朝鮮や香港を撮影した写真集を出版しました。ロシアと対立していたハンガリーでは、日露戦争での日本の勝利を歓迎する動きがありました。

第一次世界大戦と戦間期

第一次世界大戦では、日本とハンガリーは敵対国として青島の戦いで対峙しました。しかし、シベリア出兵中に捕虜となったハンガリー兵メゼイ・イシュトヴァーンは、日本人将校との交流をきっかけに1924年のハンガリー日本協会設立に貢献しました。

1921年には、ハンガリー王国と日本の間で国交が樹立されました。ツラン協会は日本との同盟を主張し、ハンガリーに日本の皇族を国王として迎えるべきだという主張もありました。1921年にバラートシ・バログが再来日した際には、通訳の今岡十一郎がハンガリーに留学し、帰国後、日本でのハンガリー紹介に尽力しました。

1924年にはハンガリー日本協会が設立されました。この時期には、斎藤茂吉が医学研究のためヨーロッパに留学し、ハンガリーに滞在しました。また、夏目漱石の長男である夏目純一もハンガリーを訪れ、ジプシー音楽に魅了されブダペスト音楽院に留学しています。

1931年には、高松宮宣仁親王夫妻もハンガリーを訪問しました。三井高陽は1935年から日本研究費としてハンガリー文部省に寄付を始め、1938年にはハンガリー人研究者を対象とした日本文化賞を設けました。1938年11月には、日本ハンガリー文化協定が締結されました。

第二次世界大戦

ハンガリーは1939年に防共協定、1940年に三国同盟に加入し、日本とともに枢軸国となりましたが、軍事的な交流はほとんどありませんでした。同盟加入時には、日本においてもハンガリーの加入を歓迎する報道が行われ、摂政ホルティ・ミクローシュは昭和天皇に白馬「白雪」を贈っています。

第二次世界大戦末期にはハンガリー王国政府が崩壊し、日本も降伏したため、両国間の国交は断絶状態となりました。戦後、ハンガリーは東側諸国となり、日本は西側諸国に属していたため、国交回復は遅れました。

1959年、チェコスロバキアのプラハで国交回復文書が調印され、1960年には相互に公使館を開設、1964年には大使館に昇格しました。1971年には、日本ハンガリー友好協会が再設立されました。1973年には、日本初の本格的な『ハンガリー語辞典』が刊行されました。

1987年には、ハンガリーにおける日本との民間の友好協会が再設立され、議会間の交流も活発になりました。1991年には、スズキがハンガリーに進出しました。1993年には、大阪外国語大学に日本初のハンガリー語学科が設置されました。2009年には、外交関係開設140周年と再開50周年を記念して、多くの行事が開催されました。

要人往来

日本要人のハンガリー訪問

1990年1月には、海部俊樹首相が日本の首相として初めてハンガリーを訪問しました。2002年には、明仁天皇と美智子皇后がハンガリーを国賓として訪問しています。2019年には、佳子内親王がハンガリーを訪問しました。

ハンガリー要人の訪日

1990年11月には、ゲンツ大統領が平成の即位の礼に参列するため訪日しました。2019年10月には、アーデル・ヤーノシュ大統領夫妻が令和の即位の礼に参列するため訪日しました。同年には、オルバーン首相も実務訪問賓客として訪日しています。

姉妹都市

日本とハンガリーの間には、以下の姉妹都市関係があります。

青森県青森市 - ケチケメート市
秋田県由利本荘市 - ヴァーチ市
大阪府大阪市 - ブダペスト市
山形県遊佐町 - ソルノク市
秋田県鹿角市 - ショプロン市
秋田県湯沢市 - チュルゴー市

この他、富山県とハイドゥー・ビハール県、岐阜県とヴェスプレーム県、千葉県鴨川市とグドゥルー市の間にも交流関係があります。

経済

2023年10月現在、ハンガリーに在住する日本人は1993人、日本に在住するハンガリー人は776名です。ハンガリーはシェンゲン協定に加盟しており、短期滞在であれば査証は不要です。

2022年の日本の対ハンガリー輸出額は1,983億円、輸入額は1,555億円で、主な輸出品は自動車や一般機器です。1991年にスズキが進出したマジャールスズキは、ハンガリーの国民車として市場占有率首位を記録しました。その他、デンソー、アルパイン、イビデン、ブリヂストンなども進出しています。

文化

大阪大学のハンガリー語学科では、ハンガリー語学習書が出版されています。また、東京外国語大学や日本ハンガリー友好協会などでハンガリー語の講習会が開かれ、ハンガリー文化の紹介が行われています。2019年には、ハンガリー文化センターが東京都港区に開設されました。

外交使節

ハンガリーは、東京都港区に大使館を置き、パラノビチ・ノルバート特命全権大使が着任しています。日本は、ブダペストに大使館を置き、小野日子特命全権大使が着任しています。

駐ハンガリー日本大使・公使

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駐日ハンガリー大使・公使

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脚注

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参考文献

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関連項目

駐日ハンガリー大使館
ハンガリーのツラニズム

外部リンク

駐日ハンガリー大使館
在ハンガリー日本国大使館
各国・地域情勢 ハンガリー（日本国外務省）
日本ハンガリー友好協会

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