未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選

未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選

「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」は、2006年2月17日に水産庁によって選定された文化遺産のリストです。この百選は、日本の漁業と漁村が育んできた歴史と文化を未来に伝えるため、全国各地に残る価値の高い施設や史跡を選び出しています。

選定基準

選定にあたっては、全国の漁村から歴史的・文化的に価値の高い施設や史跡を公募し、応募された350件の中から、以下の基準に基づいて選定委員会が審査しました。

地域固有の漁業文化: その地域ならではの漁法や漁具、漁業に関する祭事など、独自の文化を反映していること。
珍しい建築工法や形状: 漁業に関わる建物や施設において、特異な建築技術やデザインが見られること。
歴史的価値: 地域の漁業史において重要な役割を果たした場所や、歴史的な出来事と関連があること。

各地の選定物件

百選には、北は北海道から南は沖縄まで、日本各地の多様な文化遺産が選ばれています。以下に、その一部を紹介します。

北海道

鰊漁場建築: 旧花田家番屋（留萌郡小平町）、旧留萌佐賀家漁場（留萌市）、小樽市鰊御殿（小樽市）など、ニシン漁で栄えた時代の建造物群。
袋澗: 島牧郡島牧村に見られる、独特な治水・漁業のための施設。
石崎漁港トンネル航路: 檜山郡上ノ国町にある、トンネル状の珍しい漁港航路。

東北

津軽海峡及び周辺地域のムダマハギ型漁船コレクション: 青森県青森市に保存されている、独特な形状の漁船群。
机浜漁村番屋群: 岩手県下閉伊郡田野畑村に残る、漁村の歴史を伝える番屋群。
三陸津波伝承施設: 田老防潮堤（岩手県宮古市）、両石津波記念碑（岩手県釜石市）など、津波の教訓を伝える施設。

関東

常陸大津の御船祭と祭事船: 茨城県北茨城市で行われる、伝統的な祭り。
帆びき船: 茨城県各地で見られる、帆を張って漁をする伝統的な漁船。
外川漁村: 千葉県銚子市にある、古い漁村の面影を残す集落。

中部

コド: 新潟県岩船郡山北町で行われる、伝統的なサケ漁。
宿根木の街並み: 新潟県佐渡市にある、独特な街並みを残す集落。
氷見の漁業伝統: 富山県氷見市に残る、漁業に関する伝統文化。
奥能登の間垣: 石川県輪島市、珠洲市で見られる、風を防ぐための独特な垣根。

近畿

琵琶湖の伝統的漁法: 魞（えり）、簗（やな）など、琵琶湖で行われてきた伝統的な漁法。
舟屋群: 京都府与謝郡伊根町にある、海に面した独特な家屋群。
太地町捕鯨歴史文化財: 和歌山県東牟婁郡太地町にある、捕鯨に関する歴史的な遺産。

中国

青石畳: 島根県松江市にある、青石を敷き詰めた美しい道。
むかし下津井回船問屋: 岡山県倉敷市にある、江戸時代の回船問屋の建物。
沖家室の漁村集落: 山口県大島郡周防大島町にある、漁村の景観を残す集落。

四国

堂浦のテグスといやしの杜、阿波井神社: 徳島県鳴門市にある、テグス（釣り糸）の生産と関わりのある神社。
安戸池: 香川県東かがわ市にある、海水を引いた養殖池。
外泊の石垣: 愛媛県南宇和郡愛南町にある、石垣で造られた美しい集落。

九州・沖縄

みあれ祭りと宗像大社中津宮: 福岡県宗像市で行われる、海の神を祀る祭り。
津屋崎千軒: 福岡県福津市にある、古い港町の面影を残す街並み。
魚垣: 沖縄県宮古島市にある、魚を捕るための石垣。

未来への継承

「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」は、日本の漁業と漁村が育んできた貴重な文化遺産を未来に伝えるための重要な取り組みです。これらの文化遺産を保護し、活用することで、地域の活性化や観光振興にも繋がることが期待されます。

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