桓石虔

桓石虔（かん せきけん）

桓石虔（生年不詳 - 太元14年6月19日（389年7月28日））は、東晋に仕えた武将です。征西大将軍であった桓豁の子で、幼名（小字）は鎮悪といいました。その武勇は並外れており、数多くの戦で目覚ましい活躍を見せました。

生涯

桓石虔は東晋に仕え、寧遠将軍・南頓郡太守に任じられました。その軍事的な才能は早くから認められ、重要な局面で活躍しました。

前燕・前秦との戦い

太和5年（370年）には、前燕の救援のために前秦が派遣した軍勢に対し、桓温の指揮下で督護の竺瑤らと共に迎撃に当たりました。武丘での戦いでは東晋軍が勝利し、桓石虔は南城を攻略する功績を挙げました。

太和6年（371年）には、前秦が再び援軍を送ると、桓石虔は桓伊と共に迎撃を命じられました。石橋での戦いでは再び東晋軍が勝利し、敵軍を慎城まで退却させることに成功しました。

益州での反乱鎮圧

寧康2年（374年）には、張育と楊光が益州で前秦に対して反乱を起こし、東晋に出兵を要請しました。桓石虔は威遠将軍に任じられ、益州刺史の竺瑤と共に3万の兵を率いて墊江を攻撃しました。姚萇が守る前秦軍を破り、巴東に駐屯しました。

その他の軍事的な功績

父の桓豁が亡くなったことで一時職を離れましたが、前秦軍が淮南に侵攻すると、奮威将軍・南平郡太守として再び任官しました。

太元6年（381年）には、前秦の都貴が派遣した司馬閻振と呉仲の軍勢を、桓沖の指揮下で桓石民や郭銓らと共に迎撃しました。桓石虔は夜間の渡河を敢行し、敵軍を打ち破り、多数の捕虜と戦利品を得るという大きな戦果を挙げました。この功績により河東郡太守に任じられ、樊城に拠りました。

太元8年（383年）には、桓沖が襄陽を攻めた際、桓石虔は桓石民や劉波と共に沔北の諸城を攻略しました。筑陽を攻略し、武当で前秦の張崇を破るなど、各地で武功を重ねました。

太元9年（384年）には、監豫揚五郡諸軍事・豫州刺史に任じられました。謝玄の指揮下で前秦討伐に参加し、魯陽に拠って洛陽の北を守らせ、彭城を占拠するなど、重要な役割を果たしました。

死後

太元14年（389年）に亡くなりました。右将軍を追贈され、閻振討伐の功績により作唐侯に封じられました。

人物・逸話

桓石虔は幼少の頃から才能に恵まれ、身体能力も非常に優れていました。その勇猛さを物語る逸話が数多く残されています。

荊州で狩りを行った際、矢が刺さった猛獣の矢を抜くように命じられた桓石虔は、猛獣と格闘の末にこれを組み伏せ、再び矢を抜いて戻ってきたという逸話があります。
桓温に従って関中に侵攻した際、桓沖が敵に包囲された際には、単騎で敵陣に乗り込み、桓沖を救出したという逸話も残っています。

桓石虔の勇名は敵軍にも轟き、彼が来ると聞くだけで病気が治る者もいたほど、民衆は彼を畏れ敬いました。謝安も彼の勇猛さを警戒しつつも、その能力を高く評価し、豫州刺史に任じたと伝えられています。

家族

父：桓豁（字は朗子）
兄弟：桓石秀、桓石民、桓石生、桓石綏、桓石康
子女：桓洪（長男）、桓振（桓洪の弟）、桓誕（五男）、桓氏（桓振の妹で、司馬秀の妻）

参考文献

『晋書』巻9、巻74、巻79、巻98、巻113-巻114
『資治通鑑』巻102-巻105
『十六国春秋』巻36-巻38

もう一度検索