椙杜隆康

椙杜隆康（すぎのもり たかやす）

椙杜隆康は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、周防蓮華山城主として知られています。大内氏、後に毛利氏に仕え、その生涯は戦乱の世を生き抜いた武将の典型と言えるでしょう。

生涯

大内氏家臣時代

隆康は周防国玖珂郡椙杜郷を本拠とする国人、椙杜房康の子として生まれました。周防国の大名であった大内義隆に仕え、その偏諱「隆」を与えられたと考えられています。天文20年（1551年）の大寧寺の変で大内義隆が陶隆房（後の陶晴賢）らに討たれ、大友氏から大内義長が迎えられると、隆康もこれに従いました。

天文22年（1553年）、備後国三谿郡の旗返城主・江田隆連が大内氏から離反した際、尼子晴久が備後国に出陣し毛利元就と戦いました。この時、隆康は元就への援軍として派遣され、尼子氏との戦いに参加しています。

防長経略と毛利氏への帰属

天文24年（1555年）10月1日の厳島の戦いで毛利軍が勝利し、陶晴賢が討死すると、毛利元就は周防国へと侵攻を開始しました。元就は椙杜房康と隆康・元種兄弟に使僧を派遣し、厳島の戦いの戦果を伝え、毛利氏への帰属を勧めました。隆康はこれを受け入れ、山口への出陣の際に先鋒を務めることを約束し、人質を差し出して毛利氏に服属、岩国に在陣する毛利元就・隆元父子と面会しました。

同時期に、近隣の鞍掛山城主・杉隆泰や祖生領主・小方隆忠も毛利氏に降伏しましたが、杉隆泰は密かに大内義長に救援を要請しようとしました。隆康はこの動きを察知し、杉隆泰の降伏が偽りであると元就に報告しました。元就はこれを受けて鞍掛山城を急襲し、杉隆泰を討ち取りました。

隆康は毛利氏への服属と、杉隆泰攻めの功績を認められ、杉隆泰の遺領の一部を与えられました。さらに、毛利氏への忠誠を誓ったことに対し、元就と隆元から起請文が送られています。その後も、玖珂郡祢笠の土寇討伐などで活躍しました。

弘治2年（1556年）に兵火で焼亡した玖珂郡北方の仏成寺（後の浄信寺）とその鎮守社である白山比咩神社を、永禄元年（1558年）に再建しました。さらに、元亀2年（1571年）には白山比咩神社の拝殿を上棟し、天正4年（1576年）9月に遷宮が行われました。

永禄4年（1561年）には厳島神社に馬を奉納し、豊前国の山賀城攻めでは、敵兵を討ち取る手柄を立て、小早川隆景から感状を与えられました。

三度の養子縁組

隆康には実子がなかったため、毛利元就に懇願して元就の五男である元秋を養子に迎えました。しかし、元秋は後に尼子氏の本拠地であった出雲国の月山富田城への在番を命じられ、椙杜氏との養子縁組は解消されました。その後、元就の八男である元康が養子となりましたが、元康が椙杜家の家督を保持したまま月山富田城に在番することが問題視され、元康との養子縁組も解消されました。

その後、毛利氏の重臣・志道元保の次男である志道元縁との養子縁組を毛利輝元に要請し、元縁を婿養子として迎え、家督を継がせました。

隆康の没年は不明です。

椙杜隆康は、激動の時代を生き抜き、大内氏から毛利氏へと仕えながら、家を守り抜いた武将として、その名を歴史に刻んでいます。

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